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2023年6月19日(月)

主張

沖縄の軍事力増強

再び戦場にするなの声大きく

 沖縄では、岸田文雄政権が安保3文書で保有を決めた敵基地攻撃能力を持つ長距離ミサイルをめぐり、「配備されれば相手国からの攻撃の標的になる」と懸念が強まっています。玉城デニー沖縄県知事は、敵基地攻撃能力を有した兵器を県内に配備しないことなどを求める要請書を岸田首相らに提出しました(9日)。沖縄の地元紙は、知事の要請について「都道府県が配備反対を伝えたのは初めて」で、「沖縄の民意を踏まえた行動」と評しています(琉球新報13日付)。岸田政権は、沖縄の声をないがしろにしてはなりません。

知事が配備反対を表明

 政府は、中国を念頭に、沖縄をはじめ南西地域での自衛隊増強を急ピッチで進めています。

 陸地から艦船をミサイルで攻撃する陸上自衛隊の地対艦誘導弾部隊は、奄美大島(鹿児島県)、宮古島(沖縄県)、石垣島(同)に既に配備され、沖縄本島のうるま市にも今年度末までに置かれようとしています。いずれの部隊も、「12式地対艦誘導弾」と呼ばれるミサイルを装備しています。

 同ミサイルは、安保3文書に基づき、敵基地攻撃を可能にするための長射程化が計画されています(12式地対艦誘導弾能力向上型)。防衛省は能力向上型の配備先は決まっていないと繰り返していますが、南西地域の地対艦誘導弾部隊に置かれる恐れが濃厚です。

 防衛省は「南西地域への部隊配備は抑止力になり、攻撃される可能性を減らす」などともしています。しかし、「抑止力」とは相手国に軍事的脅威を与え、攻撃を思いとどまらせようとするものです。軍拡競争がエスカレートし、偶発的な衝突の危険が増大します。

 デニー知事の要請書が「抑止力の強化がかえって地域の緊張を高め、不測の事態が生ずることを懸念しており、ましてや米軍基地が集中していることに加え、自衛隊の急激な配備拡張により、沖縄が攻撃目標になることは、決してあってはならない」と強調しているのは当然です。沖縄県議会が3月に賛成多数で可決した、「対話と外交による平和構築」を求める意見書も、「南西地域へのミサイル配備など軍事力による抑止」について「アジア太平洋地域の緊張を強め、沖縄が再び戦場になることにつながる」と指摘しています。

 デニー知事は今回の要請で、沖縄の基地負担の軽減、米軍再編計画についての説明、米空軍嘉手納基地への最新鋭機配備に伴う騒音被害への対応なども求めました。

 米軍再編にかかわって日米両政府は、在沖縄米海兵隊の一部を「海兵沿岸連隊」に改編するとしています。同連隊は、多数の小規模部隊を南西地域などの島々に展開させ、中国軍の艦船や航空機を攻撃する「遠征前進基地作戦」(EABO)の中核を担います。

米軍再編・強化と一体

 嘉手納基地では、常駐機だったF15C/D戦闘機の退役に伴う暫定的な代替機として、最新鋭ステルス戦闘機F22AやF35Aをはじめ、核攻撃能力を持ったF15Eなどが次々配備され、耐え難い爆音をまき散らしています。

 在沖縄米軍の再編・強化の動きは、南西地域での自衛隊増強計画と一体です。

 「沖縄を再び戦場にするな」―。この声と運動をいっそう大きくしていくことが必要です。


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