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2023年6月18日(日)

きょうの潮流

 89式5・56ミリ小銃。先日、岐阜市の陸上自衛隊射撃訓練場で、自衛官候補生が教官ら3人を殺傷した際に使用した銃の名称です▼「小銃」と言いますが、その威力はすさまじい。有効射程500メートル、銃口初速は秒速920メートルに達し、連射も可能です。空包でさえ分厚い雑誌を貫通できるといいます。至近距離で急所を撃たれたら、まず助かりません▼この候補生がなぜ殺人におよんだのか。動機の解明はこれからですが、人間が手にする以上、何らかの意図で他者に銃を向ける可能性は排除されません。こうしたリスクを避けるための最大の担保が、銃と弾の分離だとされています。訓練では、射手が銃を構えた段階で弾を渡され装填(そうてん)する規則になっていました▼ところが候補生は射撃の順番を待っている間に弾を手にしており、自分の銃に装填していたのです。なぜ、それが可能だったのか。銃弾の管理が規則通りに行われていたのか。徹底的な解明が必要です▼こうした重大事案が発生する背後には、最悪の事態の一歩手前だった事例があったはずです。実際、ここ数年、自衛官が銃で自殺する事案が発生しています。その銃口が他者に向かうリスクは十分にあったのです▼この問題は自衛隊内部にとどまりません。1984年に山口駐屯地の射撃場で発生した小銃乱射事件で、犯人の自衛官は銃を持って逃走しました。武器の管理のずさんさは住民の安全を脅かすことに直結します。自衛隊は、殺傷兵器を保有する資質そのものが問われています。


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