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2023年6月18日(日)

主張

骨太の方針2023

軍拡・大企業優先の行き詰まり

 岸田文雄政権が16日、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2023」を閣議決定しました。27年度までの5年間に43兆円もの大軍拡を進める一方、首相が重点とする子ども予算の倍増は「30年代初頭まで」とされ、いつになるか不明確です。どちらも財源があいまいにされ、予算編成の指針として体をなしていません。

国民に負担増を押し付け

 昨年に続き、骨太の方針が前面に打ち出したのが大軍拡です。「日米同盟の抑止力と対処力」を強化するため、安保3文書に基づいて「27年度までの5年間で防衛力を抜本的に強化する」としています。スタンド・オフ防衛能力、統合防空ミサイル防衛能力をはじめ敵基地攻撃能力の保有を明記しています。

 大軍拡財源に税外収入をあてる軍拡財源法は16日の参院本会議で自民、公明などの賛成で成立しました。24年実施としていた増税について骨太の方針は「令和7年以降のしかるべき時期」も可能となるよう「柔軟に判断する」として25年以降に先送りしました。あくまで軍拡に固執する方針です。

 子ども予算倍増の財源については「社会全体でどう支えるかさらに検討する」とし、具体策は年末まで先送りしました。「こども・子育て支援加速化プラン」を掲げますが、予算の裏付けがありません。43兆円の大軍拡を最優先するところに行き詰まりの根源があります。

 安保3文書は、集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行うことができると明記しています。日本が武力攻撃を受けていないのに米軍が戦争を始めれば、日本が相手国に攻め込むことになります。憲法に違反し、日本を戦争の危険にさらす大軍拡の予算は不要です。

 大企業・富裕層を優遇する税制も子ども予算の財源確保を妨げています。法人税率は安倍晋三政権下で28%から23・2%に引き下げられました。大企業は研究開発減税などさまざまな優遇を受け、実質的な負担率は10%程度にすぎません。

 株取引に課される税率は低く抑えられています。金融資産の多い富裕層に有利な仕組みです。年間の所得が1億円を超えると所得税の負担率が下がる「1億円の壁」の是正は手つかずです。

 これでは新しい財源は生まれません。骨太の方針は子ども予算の財源について「消費税を含めた新たな税負担は考えない」としていますが、国民に負担増が押し付けられることになります。

 岸田首相は13日に「こども未来戦略方針」を閣議決定した後の記者会見でも、社会保障の「徹底した歳出改革」を明言しています。

公正な税制で財源確保を

 日本共産党は、大軍拡をやめ、富裕層や大企業に能力に応じた負担を求める税財政改革を行うことで20兆円程度の財源を確保する提案をしています。大企業優遇税制を廃止・縮小し、法人税率は中小企業を除いて28%に戻すべきです。株式の高額配当や譲渡所得に課税を強化することが欠かせません。所得税の最高税率を引き下げ前に戻すことも必要です。

 税制と歳出を改革すれば、消費税に頼らずに社会保障や教育、子ども予算の財源を確保することができます。平和と暮らしを守る政治への転換が何よりも重要です。


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