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2023年6月11日(日)

参院本会議 刑法等改正案

仁比議員の質問(要旨)

 日本共産党の仁比聡平議員が9日の参院本会議で行った刑法等改正案に対する質問の要旨は次の通りです。


 1907年の明治刑法では、家父長制のもと、性犯罪の規定は男、すなわち夫・父親の「財産」に対する犯罪として位置づけられ、命がけで抵抗したが圧倒された抗拒不能の場合でなければ強姦(ごうかん)罪は成立しないとされ、抵抗をしなかったとされた女性は、逆に非難の対象とされました。

 戦後、女性も子どもも憲法13条の通り「個人として尊重される」ことになったにもかかわらず、明治刑法の規定は特段の議論なく引き継がれ、2017年の改正でも抗拒不能要件はそのままとされるなど重要課題が持ち越されました。「いやよいやよも好きのうち」などという男性優位の身勝手な観念をとり払わなければなりません。本法案は性暴力の根絶を求める運動の成果であり、基本的に歓迎するものです。

 法案が、罪名そのものを「強制性交」から「不同意性交」へと変え、「同意の有無」を中核とする構成要件としたことは前進です。さらに性的自由を脅かすジェンダー不平等を一切とり払い、性的行為には相手の積極的同意を必要とし、広く「個人の尊厳」を保護するよう捉え直すべきではありませんか。

 本法案でも、地位関係性を利用し、その優位に乗じて行う犯罪類型の創設を見送ったのはなぜですか。力関係の差という現実を直視するさらなる改正を検討すべきではないですか。

 現行法上の13歳という低すぎる性的同意年齢を改め、16歳への引き上げを明記して、中学生まで原則保護することを宣言したことは極めて重要ですが、保護すべき16歳未満の者に対する性的行為について、処罰対象を被害者と5歳以上年が離れた者に限定しているのは疑問です。

 「性的搾取から子どもを守る」立場に立ち、「18歳以上の者」からの性的行為を処罰するなど、さらなる法改正を検討すべきではありませんか。

 18歳に達するまで公訴時効を停止する特例を設けることは極めて重要ですが、幼少期、思春期に加えられる性被害がどれほど深く人を傷つけるかを私たちは学ぶべきです。

 本法案によっても、被害をようやく認識し、捜査機関に相談した時点で、公訴時効が成立しているという事態が起こるのではありませんか。ドイツでは被害実態調査を行い、30歳に達するまで時効を停止するなどの法改正が行われてきました。わが国でも政府として実態調査をすべきではありませんか。


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