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2023年6月10日(土)

LGBT理解増進法案

塩川議員の討論(要旨)

衆院内閣委

 日本共産党の塩川鉄也議員が9日の衆院内閣委員会で行ったLGBT理解増進法の日本共産党・立憲民主党案に対する賛成討論と、自民・公明の原案、自民・公明・維新・国民の修正案に対する反対討論は次の通りです。


 立民・共産案は、2021年に超党派のLGBT議連で合意したものです。差別を許さないために最低限必要な措置を定めた「議連合意」立共案の成立を強く求めます。

 議連にも加わる自公維国が、それぞれ別の法案を提出したことは合意した法案を壊すもので許されません。

 自公が維国案をほぼ丸のみしました。修正案の最大の問題は、性的マイノリティー以外の権利擁護のためなどと言って「留意事項」を新設したことです。「全ての国民が安心して生活できる」というワードを用いていますが、「多数派の権利擁護も必要」として設けたものです。この発想は「多数派が認める範囲内」でしかマイノリティーの人権・尊厳は認めないとのメッセージになりかねません。

 学校での教育・啓発は「家庭・地域住民・その他の関係者の協力を得つつ」行うと追加しており、これも「多数派が認める範囲内」での教育・啓発しか認めないという発想です。教育現場が委縮しかねません。

 自公案は、議連合意の「差別は許されない」を「不当な差別はあってはならない」に変更しています。「正当な差別」が存在するかのようなメッセージとなり、差別を温存しかねません。

 このような規定は、目的のはずの理解増進を阻み、マイノリティーに対する差別をなくそうとする流れに逆行します。

 自公案は、議連合意で国に義務付けた「調査研究」を「学術研究」に置き換え、「調査」を削除しました。公的調査を行う国の責務を弱めるものです。

 多数派の権利擁護のための「留意事項」について「政府が指針を策定する」としているのは、自治体による先進的な条例や民間団体の自発的な活動など、この法律全体を「多数派が認める範囲内」での施策に抑え込もうとするものです。

 修正案では、「性同一性」を持ち込まなかったとはいえ、「ジェンダーアイデンティティー」に置き換えています。なぜ「性自認」を用いなかったのか。背景に、「性自認」と“自称”や“なりすまし”を混同させ、差別と偏見をあおり、運動や世論を敵視する勢力がいます。

 性的マイノリティーを排除することなく、性の多様性を認め合い、誰もが「個人の尊厳」を尊重される社会をつくることが世界の流れであり、求められていることです。本来必要なのは、わが党を含む野党が提出している「LGBT差別解消法案」の成立です。


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