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2023年6月7日(水)

再審法の弊害除け

日弁連が国会内集会

証拠開示ルールなし 検察の抗告繰り返し

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(写真)再審法改正を訴える袴田ひで子さん=6日、東京都千代田区内

 袴田事件や大崎事件など、裁判のやり直し、再審をめぐるニュースが相次いでいます。検察官による抗告の繰り返しや証拠を出すルールの不存在など、弊害だらけの再審法改正を求める国会内集会が6日、日本弁護士連合会(小林元治会長)の主催でありました。

 「やる気のある裁判官に当たると、検察に証拠開示命令して、証拠を出させてくれる。第2次再審請求で鹿児島地裁は何もしてくれなかった。それは証拠開示の手続きを定めたルールがないから」

 “裁判官ガチャ”などと呼ばれる弊害を指摘するのは、大崎事件弁護団事務局長の鴨志田祐美弁護士です。

 5日に福岡高裁宮崎支部は、大崎事件の第4次再審請求を棄却しました。大崎事件は、これまでに裁判所が3度も再審開始を決定しながら、検察が抗告し、最高裁などに決定を取り消されてきました。

 鴨志田さんは「再審は、『針の穴にラクダを通すように難しい』と言うが、大崎事件はラクダを3頭通したことになる。最初の再審決定から21年たっても、この状況」と指摘しました。

 袴田事件弁護団の戸舘圭之弁護士も「もし、検察の抗告を禁止していれば、袴田巌さんは9年前に再審公判で無罪になっていた。しかし今も、袴田さんは死刑確定囚のまま」と訴えました。

 袴田巌さん(87)は2014年に静岡地裁が再審開始決定を出しましたが、再審開始が確定したのは今年3月です。

 集会で鴨志田さんは「ドイツでは検察官の抗告を立法で禁止している。再審請求審は、再審公判の前さばきだ。検察は、本番の再審公判で有罪の立証をすればいいだけ。抗告の弊害は明らかだ」と強調しました。

 集会には、与野党の国会議員30人が駆けつけ、超党派での再審法改正への決意表明をしました。日本共産党からは本村伸子衆院議員と山添拓参院議員が参加しました。

 袴田巌さんの姉、袴田ひで子さん(90)は「48年という長い年月、(拘置所で)弟は大変苦労してやっと社会へ戻ってきました。再審法改正をぜひお願いします。助けてくださいませ」と訴えました。

 再審法 刑事訴訟法の「第四編 再審」の部分を指します。刑訴法には507条の条文がありますが、再審に関してはわずか19条のみ。審理手続きを定めた条文は「再審の請求の理由について、事実の取調をさせ」るとした第445条だけです。日本国憲法の制定で刑訴法は大改正されましたが、再審の部分は旧刑訴法からほとんど改正されていません。

3度の再審決定が検察の抗告で取り消された大崎事件

1979年 事件発覚

  81年 原口アヤ子さんの有罪が確定

  90年 原口さんが刑務所を満期出所

  95年 鹿児島地裁に第1次再審請求

2002年 地裁が再審開始決定。検察が即時抗告

  04年 福岡高裁宮崎支部が開始決定取り消し。原口さんが特別抗告

  06年 最高裁が特別抗告を棄却

  10年 第2次再審請求

  13年 地裁、再審請求棄却

  15年 第3次再審請求

  17年 地裁が再審開始決定。検察が即時抗告

  18年 高裁支部が抗告を棄却。検察が特別抗告

  19年 最高裁、再審開始決定を取り消し

  20年 第4次再審請求

  22年 地裁が再審請求を棄却。弁護側が即時抗告

  23年6月5日 高裁支部が棄却


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