2023年6月3日(土)
マイナンバー法等改定案 山下議員の反対討論要旨
参院本会議
日本共産党の山下芳生議員が2日、参院本会議で行ったマイナンバー法等改定案の反対討論の要旨は次の通りです。
本日の会議でこの法案を採決することが許されるのでしょうか。コンビニで他人の住民票が出る、病院で他人の診療情報や薬剤情報が出るなど、国民の信頼を崩壊させる深刻なトラブルの連続です。
政府として総点検し、国会に対策を示す。その上でトラブルの全容解明や再発防止は十分なのかチェックするのが国会の役割です。目の前でトラブルが相次いでいるさなか審議を打ち切り法案だけ通すのは国民への国会の責任放棄です。審議打ち切り、採決強行に厳しく抗議します。
反対理由の第1は、保険証1枚で誰もが安心して医療を受けることができる国民皆保険制度の崩壊につながるからです。
全国保険医団体連合会の最新の調査では、オンライン資格確認で「トラブルがあった」と回答した医療機関が6割です。トラブルへの対処として最も多いのは「持ち合わせていた健康保険証で資格確認をした」でした。
保険医協会の先生方が私の事務所を訪ね、共通して訴えたのは「今はマイナ保険証で受診する患者は一つの診療所で週に1人か2人。保険証も持ってきているのでトラブルが起こっても対応できる。しかし、保険証が廃止されマイナ保険証のみで受診する患者が増えたらとても対応できない。保険証を残してほしい」ということでした。
健康保険証を廃止すれば、システムの不具合で患者が窓口で10割負担を求められるケースが増えることは避けられません。負担が重く必要な受診ができなくなる、患者と医療機関の間で深刻なトラブルとなるなど、全国の医療機関で診療が停滞・中断する事態に発展しかねません。
第2は、介護が必要な高齢者や障害者などの、医療を受ける権利が奪われることになるからです。
竹田智雄保団連副会長は「マイナ保険証は現行の保険証以上に厳重な保管、管理が求められる。施設の職員に重大な責任を負わせるような進め方は切にやめていただきたい」と訴えられました。
施設入居者のマイナ保険証申請を誰がするのか、政府から具体的な方策は示されておらず、訪問・在宅医療、高齢独居の方々の申請、管理も未解決のままです。
障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会の家平悟事務局長は、障害者の場合、マイナンバーカードの申請・取得・管理・利用のそれぞれに大きな問題を抱えていると告発しました。
政府は「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を」などと言いますが、介護高齢者や障害者など最も弱い立場の人々を「取り残す」ものです。
このような法案を通すことは断じて許されません。矛盾はなくなりません。国民のたたかいがいっそう大きく広がると指摘します。