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2023年6月2日(金)

主張

マイナ法案強行

混乱必至の保険証廃止やめよ

 参院地方デジタル特別委員会で31日、マイナンバー法等改定案が自民、公明の与党、日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決されました。人の命を何と考えているのでしょうか。健康保険証と一体化したマイナカードに別人の情報が登録されていた誤りは、医療事故を起こしかねない危険なトラブルです。7300件以上も起きていました。他にも公金受取口座の誤登録、コンビニでの別人の証明書交付、別人へのマイナポイント付与―と個人情報を扱うシステムとして体をなしていません。法案の成立は許されません。

命を危険にさらす誤登録

 別人の保険情報がひも付けられていた件では、投薬情報も別人のものが表示されました。他人の医療情報に基づいて誤った診断や薬の処方が行われ、健康被害が生じる可能性があります。河野太郎デジタル相も「健康に被害が及べば深刻なトラブル」と国会で答弁し、重大性を認めました。

 システムを導入した医療機関の中には、マイナカードで保険情報を読み込んだ上、確認のため、保険証の提示を患者に求めているところがあります。

 マイナカードへの信頼は地に落ちています。2024年秋の保険証廃止はやめるべきです。

 マイナカードの取得はあくまで任意ですが、保険証廃止となれば、すべての国民がカードの取得と、保険証との一体化を事実上強制されます。

 病気や障害のため自分で手続きが難しい人はどうするのか。法案審議の参考人質疑では障害者団体の代表が、マイナカードの申請を巡る深刻な実態を告発しました。

 車いすに乗っている人が、顔写真にヘッドレストが写っていることを理由に申請を却下された。黒目のない人が顔写真を撮り直すよう言われた―と言います。許しがたい障害者排除です。

 要介護高齢者も置き去りです。特別養護老人ホームなど多くの要介護者が入居する施設では、管理者がカードの保管や暗証番号の管理の責任を負わされます。個人情報が流出すれば、処罰もありうる重い負担です。

 健康保険証ならすべての被保険者に送られ、そのまま使えます。患者の保険資格を確認するために医療機関が専用システムを導入する必要もなく、廃止すべき理由は何もありません。

 保険資格があるのにそれを証明できず、医療を受けられない人を出してはなりません。政府は、保険証廃止後、マイナカードを持たない人には「資格確認書」を発行するとしていますが、申請が必要で有効期限もあり、解決になりません。

国民不在のデジタル化

 数々のトラブルは、国民不在で進められてきた政府のデジタル化政策が原因です。マイナカードの普及はデジタル化のカギとされ、健康保険証の廃止という強権的手段を発動するに至りました。

 カードの取得申請は、岸田文雄政権が保険証廃止を打ち出してから急激に増え、それに伴って誤登録が起きています。前のめりで推し進めてきた責任は重大です。

 問題が次々に噴き出し、国民の不信と不安は募るばかりです。安全なシステムという前提は破綻しています。法案は廃案しかありません。


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