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2023年5月28日(日)

主張

教員給与特別法

政府は「残業代不支給」やめよ

 公立学校の教員には残業代を支給しないという特別な制度が、教員の長時間労働の要因の一つとなってきました。国で同制度の見直しが始まっています。日本共産党は「残業代不支給制度」の廃止を強く求めます。

 教員の長時間労働は深刻です。4月に国が公表した実態調査でも、平日の勤務時間は公立小学校教諭・11時間23分、同中学校教諭・11時間33分です(持ち帰り時間を含む)。過酷な働き方が原因で、学級担任も見つからないなどの「教員不足」が広がり、「いま手を打たないと学校が崩壊する」という声が上がっています。

長時間労働まん延の温床

 残業には25%以上割増しの賃金を支給する―この制度は、経済的な側面から長時間労働を抑制するために設けられた、世界のルールです。国際労働機関(ILO)条約で定められ、日本でも労働基準法に明記されています。

 ところが1971年、自民党政府は、公立学校の教員に残業代を支給せず、その代わりに給与額の4%を新たに支給するなどの法律(教員給与特別措置法=給特法)を、当時の全ての野党の反対を押し切って成立させました。

 その後、国や地方は「○○教育」「○○改革」などの行政主導の業務を、次々と学校現場に押し付けます。残業代というコストがかからないことが、押し付けに拍車をかけたことは明らかです。

 残業代がなければ残業時間を計ることもなく、行政は教員の労働時間に無頓着になります。国は数十年間、勤務時間の調査すら行いませんでした。教員にも適用される1日8時間労働の原則も、いまや行政の眼中にはありません。

 さらに、教員には原則的に残業命令を出さないという条文を盾に、子どもの成績つけなどで残業しても、「命令が出ていないから労働時間ではない」という詭弁(きべん)が行政ではまかり通っています。

 給特法のもとでのこうした実態は、関係者が言うように「定額働かせ放題」そのものです。

 給特法の法案審議の際、野党は「残業代をなくせば労働時間が無定量になる」と反対し、政府は「そういう批判はおこりえない」と主張しました。しかし、その後の経過は、残業代の不支給が長時間労働の温床となることを事実で示しました。一昨年のさいたま地裁判決は「給特法は、もはや教育現場の実情に適合していないのではないか」と疑問を投げかけました。

 自民党は、残業代の不支給は変えず、調整額を4%から10%以上に引き上げる提案を行っています。それは月1万数千円程度の追加支給で「定額働かせ放題」を続けるものです。多くの教員が「現場のことを分かっていない」と声を上げました。教員たちが求めているのは、長時間労働を抑制するための残業代制度の適用です。

教職員の定員増も不可欠

 自民党は、残業代制度がなじまない理由に、残業時間の認定が大変になることなどを挙げます。しかし、私立学校や国立大付属学校では残業代を現に支給しており、理由にはなりません。

 教員の長時間労働の解決は待ったなしです。それに不可欠な教職員の定数増と合わせ、長時間労働の温床である「残業代不支給制度」を廃止すべきです。そのために力を合わせることを呼びかけます。


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