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2023年5月19日(金)

志位委員長が会見

市民と野党の共闘 事実を踏まえた議論を

 日本共産党の志位和夫委員長は18日、国会内で記者会見し、立憲民主党の泉健太代表が「共産党とは選挙協力はしない」と発言したことについて問われ、「泉代表の発言は、直接は聞いていないのでコメントしない」とのべたうえで、「そのことを前提にして、二つの点で基本点をのべておきたい」と野党共闘についての基本的立場をのべました。

 第一に、2021年総選挙では、「共闘勢力」で一本化した59選挙区で勝利し、自民党の重鎮や有力政治家を落選させたということです。さらに、59選挙区のうち56選挙区で、「共闘勢力」の比例得票の合計を小選挙区候補の得票が上回る「共闘効果」が発揮されたということです。志位氏は「『市民と野党の共闘は失敗だった』ということが、あちこちから言われているが、共闘は重要な成果を勝ち取っている。この事実を踏まえた議論が必要ではないか」とのべました。

 第二に、今国会では、自民・公明・維新・国民の「4党連合」によって、大軍拡・改憲の動きが進められ、翼賛体制の危険が生まれているということです。志位氏は「野党がこうした流れにきっぱり対決し、スクラムをくんで立ち向かうことが今ほど求められている時はないのではないか」と強調しました。

核兵器廃絶、国際秩序、ジェンダー、気候変動

G7サミット開幕で

 志位委員長は、主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)について問われ、三つの問題でサミットと日本政府がどういう答えを出すのかに注目していきたいと語りました。

 1点目は、核兵器廃絶の問題です。志位氏は、「被爆地で開催する以上、『核兵器のない世界』にむけて実効あるメッセージを出してほしい」との声が内外で起こっているとして、少なくとも、昨年の核不拡散条約(NPT)再検討会議の最終文書案にある(1)核兵器の非人道性を告発する(2)核軍縮のための交渉を義務付けるNPT6条にもとづく合意の明確な履行(3)核兵器禁止条約と第1回締約国会議を現に存在する国際法として認識する―の3点を広島から発信すべきだと主張しました。

 2点目は、国際社会の平和秩序の問題です。志位氏は、まずロシアによるウクライナ侵略では、国連憲章を守る一点で世界が団結し侵略を止める立場が大事であり、あれこれの価値観で世界を分断したら世界の大同団結にとってマイナスだと主張しました。

 さらに、4月のG7外相会合が発表した文書では、中国など特定の国を排除する「自由で開かれたインド太平洋構想」(FOIP)とともに、地域のすべての国を包摂する「ASEANインド太平洋構想」(AOIP)も盛り込まれているとして、「排除ではなく包摂の論理で対応してこそアジアの平和をつくることができる。この点でG7サミットがどういう結論を出すのか注目したい」と述べました。

 3点目は、ジェンダーと気候危機という世界の大問題で、G7の他の国に比べても、日本が特別に遅れているという問題です。

 LGBTの問題では、同性婚が認められておらず、差別を禁止する法律もない問題点があります。

 気候危機の問題では、石炭火力発電所の撤退の期限を決めてないのは日本だけです。志位氏は「世界の大問題での日本の対応が、これでいいのかということも、今度のサミットでは厳しく問われる」と語りました。

LGBT法案

与党案は大幅後退、超党派案の可決を

 志位委員長は、自公両党がLGBT理解増進法案の与党修正案を衆院に提出したことについて問われ、「超党派で合意した案からの大幅な後退となっている」と反対の態度で臨む姿勢を明らかにし、もともと自民党も合意していた超党派案の可決を「強く求めていきたい」と述べました。

 志位氏は、自公案の問題点として、与野党による実務者合意案の「差別は許されない」という表現が「不当な差別はあってはならない」に後退していることや、「性自認」という表現が「性同一性」という言葉に置き換えられていることを指摘しました。

 志位氏は、「これまでトランスジェンダーの方々について『性同一性障害』という言葉が使われてきたが、実際には障害や病気ではなく、一つの性のあり方だとWHO(世界保健機関)などでも認めてきている。そのなかで、『性自認』を『性同一性』という言葉に置き換えると、結局、その人の『性自認』を医師などの第三者によって決められてしまう余地をつくってしまうことになるのではないかと、当事者のみなさんが今強く批判している」と与党案の問題点を指摘しました。

許されない維新議員の発言

党として誤りを認め けじめが必要

 志位委員長は、日本維新の会の梅村みずほ参院議員が、入管施設で亡くなったウィシュマさんが支援者の助言で病気を装ったかのような発言を国会で行った問題への見解を問われ、議員本人の謝罪・撤回はもちろん「維新の会は党として誤りを認め、けじめが必要だ」と強調しました。

 発言に対しては、事実とは全く違うと遺族らから強い抗議の声があがっているにもかかわらず、梅村氏はその後も、ハンストで亡くなったのかもしれないなどと事実ではない発言を続けています。

 志位氏は、「ウィシュマさん、ご遺族、支援者らを深く傷つける発言で許すわけにはいかない。入管の横暴を免罪することにもなる発言であり、単なる個人の発言ではすまない。本会議での発言は維新が党として認めたうえで行ったと報じられており、党としての立場が問われている」と強調しました。

 志位氏はまた、今日の日本の入管制度の反人権的な体質の根っこには「戦前からの問題がある」と指摘。戦前の出入国管理は、内務省が管轄し、当時、植民地支配のもとに置かれていた朝鮮や台湾の人々などが取り締まりと弾圧の対象とされ、その担い手は特高警察だったと話しました。

 志位氏は、「今の入管の異常な反人権的な体質、弾圧体質、隠蔽体質は、戦前に根をもち、特高警察譲りのものだ。そういう流れの中での維新議員の発言が起こった。まさに戦前のゆがみを引きずった立場そのものだということにもなる」と述べました。


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