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2023年5月13日(土)

金融侵略 苦悩する東芝(7)

外国人株主が7割超す

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(写真)東芝研究開発センター=川崎市

 東芝の株主構成は1990年代後半に大きく変わり始めました。

 外国人の持ち株比率は、98年3月時点で10・81%にすぎませんでした。ところが、99年には14・81%に、2000年には26・59%に急上昇します。

 01年には「カストディアン」の日本トラスティ・サービス信託銀行が持ち株比率4位(2・73%)の大株主に浮上しました。以降、東芝の株主に占めるカストディアンの割合も増していきます。

真の株式保有者

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 カストディアンとは、投資家に代わって有価証券(株式や債券)の保管・管理を行う金融機関です。通常、外国の有価証券を購入する投資家がカストディアンと委託契約を結ぶといわれます。表向き株式名義人(会社の株式名簿に記載される株主)となるカストディアンは、株主構成の中で「金融機関」に分類されますが、その背後にいる真の株式所有者は主に外国人投資家だということです。

 実際、東芝の有価証券報告書にはカストディアンについてこう書かれています。「主として海外の機関投資家の保有株式の保管業務を行うとともに当該機関投資家の株式名義人となっています」

 17年の債務超過と新株発行を契機に東芝の株主に占める外国人の割合は7割を超えました。22年3月時点では52・85%となっていますが、実態はこれより高いとみられます。カストディアンが15・09%の株式の名義人となっているからです。

 この二十数年間で東芝は株主還元を著しく強めました。株主への配当金の支払いは、94億円(1999年度)から1094億円(2021年度)へ、11・6倍に増えました。こうして東芝は、外国人株主に支配され、搾り取られる会社へと変貌したのでした。

 全国4証券取引所に上場する日本企業全体の株主構成をみても、外国人の割合は4・7%(1990年度)から30・4%(2021年度)へ上昇しています。この間に配当金の支払いは4兆2千億円から29兆8千億円へ7倍に増えました。他方で従業員給与と設備投資は低迷しています。(グラフ)

「株主至上主義」

 株主還元を偏重する新自由主義的な企業経営が広がったのは「米国の金融資本が日本企業への支配力を強めた結果」だと、日本共産党の佐々木憲昭元衆院議員は指摘します。

 「外国人株主の支配力が増すにつれて『株主が企業の主人公だから短期的利益を追求して配当金を増やすべきだ』という株主至上主義が強まりました。配当金の出どころは、労働者が生み出す剰余価値です。産業資本が搾取した剰余価値の一部が利子として銀行に、配当として株主に入ります。こうした資本主義の枠組みの中で、株主という特定の階層を優遇するのが株主至上主義です。それを推進するために米国は、日本に新自由主義的改革を要求して無数の仕掛けをつくらせました」

 賃金と設備投資が伸びずに日本経済が長期低迷するのは、外国人株主による支配と搾取の仕掛けがあるためなのです。(つづく)


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