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2023年5月12日(金)

能登地震1週間

また余震 眠れない

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(写真)地震で倒壊した納屋=11日、石川県珠洲市

 最大震度6強の揺れを観測した珠洲市では11日、倒壊した建物や屋根にブルーシートをかけた住宅があちこちにありました。住宅には「危険」や「要注意」と書かれた赤や黄色の紙が貼られています。倒壊の恐れを判定する「応急危険度判定」の結果を示す紙です。

 被害が多い海岸沿いに住む女性(90)は、「余震が続き、小さな揺れでも『また地震か』とノイローゼ気味になっている」と話します。女性は夫(95)と2人暮らしです。地震で割れた食器などは、離れて暮らす子どもたちが片付けました。

 しかし家が傾き、壁と柱に何カ所も隙間ができました。押し入れやふすまはうまく閉めることができません。「いつ家が倒れてもおかしくない。でも修理するにはお金がかかる。2階は危なくて上がることができない」とうつむきます。修理のめども立っておらず、最も頑丈そうな部屋で過ごしているといいます。

 珠洲市は高齢化率が5割を超えます。ひとり暮らしの高齢者が少なくありません。

 つえをついて歩いていた女性(92)もひとり暮らしで、余震で壁から落ちそうな額縁などを近所の人に下ろしてもらいました。「毎日揺れており、ひとりは怖い。早く眠りたいが、なかなか寝付けない」。大きな余震があった5日夜には、避難のため近所で明かりがついている家を必死で探しました。結局、タクシーで公民館に避難しました。

 別の女性(93)は自宅の水道管が壊れ、トイレが一時水漏れしました。蛍光灯のかさは大きく傾いたままですが、手が届かず直すことができません。壁には長いひびが入りました。びょうぶは倒れ、仏具が散乱していますが、「また大きい揺れが来るかもしれないからそのままにしている」といいます。

 珠洲市は地震に便乗し高額な修理代を請求するといった詐欺に注意するよう呼びかけています。この女性は「先日は知らない業者がきて『ミシンはないか』といって勝手に2階へ上がられそうになった。一日も早く震災前のような穏やかな環境で暮らしたい」と訴えました。(新井水和)


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