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2023年5月10日(水)

刑法等改正案に対する本村議員の質問(要旨)

衆院本会議

 日本共産党の本村伸子議員が9日の衆院本会議で行った刑法等改正案に対する質問の要旨は次の通りです。


 同意のない性的行為は暴行・脅迫要件が立証の壁となり、性犯罪の成立が困難なことが長年の課題でした。2019年3月、名古屋地裁岡崎支部の判決は、実父による性交に娘が不同意だったと認定する一方、抗拒不能ではなかったと無罪にしました。

 同月に相次いだ4件の無罪判決が衝撃を広げ、性暴力根絶と同意のない性的行為の処罰を求めるフラワーデモが広がりました。被害当事者が検討会、法制審議会の部会に入り、今回の法案で不同意性交等罪が明記されました。

 問題は、法案で同意のない性交等が適切に処罰されるのかです。検討会では同意について以下のような指摘がありました。

 ▽年齢、成熟度、発達度、役割、経験に基づき何がなされるか理解している▽性行為をした場合に起こりうる結果と、性行為を行わない選択肢もあることを承知している▽性行為に賛成の意思、反対の意思の両方の選択肢が、平等に尊重される前提がある▽意思決定が自発的になされる―ことなどです。同意はこうした条件を満たすべきです。

 法案は、障害があることを「同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状況」に含めています。障害があることをもって「意思の形成が困難」とすることは侮辱的との声があります。障害がある人の意思形成を考慮した規定に改めるべきです。

 教師と生徒、施設職員と利用者など対等性のない関係は、地位関係性として、監護者性交等罪と同等の犯罪類型として処罰規定を創設するべきです。

 保護法益を性的自由にとどめず、個人の尊厳、心身の完全性、人格を脅かす性的暴行からの保護と抜本的に改めるべきです。

 本法案は、公訴時効を5年延長します。根拠となった内閣府調査で「相談もできなかった」は女性で約6割、男性で約7割です。性暴力被害者・支援者団体Springの20年の被害実態調査では、挿入を伴う性被害を認識するまでに「26年以上かかった」が35件、「31年以上かかった」は19件ありました。公訴時効の撤廃あるいは大幅延長すべきです。

 法案は、一定の事件の被害者の主尋問に代えて一定の録音・録画記録媒体の証拠能力を伝聞法則の例外として規定しています。

 原則として公判外供述が証拠能力を持つことはありません。適用範囲は本来限定的でなければなりません。なぜ、聴取対象を子どもや障害者、性暴力被害者に限定しないのですか。文言上あらゆる犯罪類型でのあらゆる関係者に適用可能です。伝聞例外を拡大するものではないですか。

 検察官や警察官など中立性のない捜査機関が聴取者になると想定されており、冤罪(えんざい)の危険性がないと言えるのですか。聴取主体は中立的な司法面接の専門家に限定すべきです。


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