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2023年4月2日(日)

主張

「少子化対策」試案

まだまだ「異次元」には程遠い

 「こども家庭庁」が1日発足しました。日本国憲法と児童憲章、子どもの権利条約を日本社会に根づかせる努力を怠ってきたこれまでの政治への真摯(しんし)な反省なしに、子どもの命や権利を守る施策を実現することはできません。

 3月31日に岸田文雄政権が発表した「子ども・子育て政策」の試案は、岸田首相が繰り返す「異次元」とは程遠い中身です。「今までの延長線上」「これのみで少子化を解決するのは難しい」などの批判が相次いでいます。

希望持てぬ根本にメスを

 若者が結婚や子育てに希望を見いだせない大きな問題は、非正規雇用が増加し、若い世代の収入が低く抑えられ、派遣・契約社員に雇い止めの不安が常につきまとっていることです。少子化対策が言われ始め、今年で30年になります。その間、雇用の規制緩和を加速させたのが自民党・公明党政権です。政治の責任で「賃金が上がる国」「正社員が当たり前」の働き方への抜本改革こそ必要です。

 ところが試案は、働く妻の年収が一定額を超えると税・社会保険料が増えて手取りの収入が減る仕組みへの対応を示すなどにとどまっています。

 重い教育費負担全体を引き下げる視点が欠落していることは重大です。奨学金返還の「出世払い」制度では、高すぎる学費に対応できません。日本の奨学金は若者に総額9・5兆円もの借金を負わせ、その7割が利子付きという過酷な制度です。全員一気に奨学金返済額の半額免除くらいの対策を検討する時ではないのか。まず学費半減に踏み込むことをはじめ、若者が切望する高等教育無償化に向けたプログラムを示すことなしに少子化に歯止めはかかりません。

 保育士の基準については、保育士1人に対し▽1歳児は現在の6人から5人に▽4~5歳児は現在の30人から25人に―と記しました。保育現場が数十年来求めてきた要求がようやく部分的にも盛り込まれたものですが、改善幅はごくわずかです。配置基準の抜本的見直し、保育士の処遇改善と一体で進められなくてはなりません。

 児童手当は、所得制限を撤廃し、支給期間を高校卒業まで延長して多子世帯の手当も見直すことが提案されました。子どもの医療費無料化を実施している自治体に対して国の補助金を減額する「ぺナルティー(罰則)」措置も廃止されることになりました。市民の切実な願いと粘り強く取り組まれた運動の大きな成果です。学校給食の無償化が検討項目に入ったことは前進ですが、「課題の整理」にとどめており、その実現は運動の広がりにかかっています。

統一地方選で声上げよう

 まだまだ不十分とはいえ、岸田政権が、子ども・子育て対策の強化に動きだした背景にあるのは、安心して出産・育児ができる社会を願う世論の高まりです。

 日本共産党は統一地方選で、子どもの権利を尊重し、住民の願いに応えた子育て支援の抜本的強化を訴えています。子どもの医療費無料化や学校給食の無償化は国が責任を持つ制度にしなくてはなりません。日本共産党は給食無償化も子ども医療費無料化も半世紀以上にわたり住民と力を合わせて取り組んできました。統一地方選でこの党を伸ばし、子ども・子育てに優しい政治を実現しましょう。


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