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2023年4月1日(土)

主張

値上げの春

物価高から生活守る賃上げを

 食品を中心に4月も多くの品目で値上げが相次ぎ、物価高騰はさらに深刻化する見通しです。3月28日に成立した岸田文雄政権の2023年度予算は大軍拡の一方で社会保障や暮らしの予算を軒並み削っています。同日閣議決定した「物価対策」も国民の苦しみを軽減するには程遠いものです。

抜本的な中小企業支援で

 2月の消費者物価上昇率は前年比3・1%と、1月の4・2%から上げ幅を縮めましたが、値上げは収まりません。

 民間信用調査会社、帝国データバンクが発表した食品主要195社の価格調査によると、値上げ予定が4月だけで5106品目に上り、23年通年で累計2万品目を超える見込みです。

 対策として何より重要なのが物価高を上回る賃上げです。特に7割の労働者が働く中小企業の賃上げが決定的です。

 日本商工会議所が中小企業約6000社を対象に行った調査では「23年度に賃上げを予定している」が58%と昨年を上回る一方、「未定」と「見送り」が合わせて4割を占めました。賃上げする企業でも、物価上昇率に見合う「4%以上」はわずか19%です。

 見送る理由で最も多かったのが「業績低迷、資金不足」の68%でした。賃上げをしたくてもできない厳しい経営の実態が浮かんできます。政府に求める賃上げ支援については複数回答で「景気対策」「取引価格の適正化・価格転嫁」「税・社会保障負担等の軽減」がいずれも4割でした。

 岸田政権の施策は中小企業の切実な声に応えるものとなっていません。社会保険料の雇用主負担の軽減も拒んでいます。

 中小企業への賃上げ支援には大企業がため込んでいる内部留保の活用が欠かせません。

 大企業の内部留保は安倍晋三政権以来の優遇策によって12年から170兆円も膨らみました。これに時限的に課税すれば、10兆円の財源が生まれ、中小企業支援を抜本的に強めることができます。

 最低賃金の引き上げは政治の責任です。中小企業への直接支援と一体に最賃を全国一律で時給1500円以上に上げるべきです。現行の全国加重平均時給961円では最低限の生活にも足りません。

 最賃の引き上げは年1回でなければならない決まりはありません。厚生労働相が中央最賃審議会に諮問すれば、年度内の再改定が可能です。22年の3・3%引き上げは生計費の高騰に見合ったものではありません。再改定を求める労働者の要求に岸田政権は応えるべきです。

消費税5%に引き下げよ

 あらゆる分野で起きている物価高騰には、消費税を5%に引き下げる緊急減税が最も効果的です。

 閣議決定した2・2兆円の物価対策は、使い道を政府だけで決められる予備費の支出です。子育て世帯への現金給付が住民税非課税世帯に限られるなど中身も不十分です。コロナ対策以来、事前に使途を国会に諮る必要のない予備費の支出が大規模に繰り返されています。憲法や財政法が定めた財政民主主義に反しています。

 暮らしと経済の大問題である物価対策には、賃上げ支援や消費税減税など根本的な対策が求められています。予備費の支出だけで済むことではありません。


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