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2023年3月30日(木)

戦争国家づくり 岸田暴走とたたかう

日本共産党の参院予算委論戦

平和の党 値打ち鮮明

 国民を犠牲にして、大軍拡に突き進む戦後最悪の2023年度予算が成立しました。民主主義を踏みにじり、戦争国家づくりを推し進める岸田文雄政権の大暴走が通常国会を舞台に続いています。日本共産党は、この岸田政権の大暴走に真正面から対決し、市民と力を合わせて、暮らしを守る論戦を行っています。“平和の党”の値打ちがくっきりと浮かび上がっています。

大軍拡

違憲の実態明らかに

写真

(写真)大軍拡反対、暮らしを守れと国会にむけて抗議する人たち=3月19日、衆院第2議員会館前

 日本の敵基地攻撃能力の行使に他国が反撃し、大規模被害が日本全土に及ぶことを前提に軍備増強を強行する岸田内閣。日本共産党は、敵基地攻撃や大軍拡の正体を暴露し、実態を隠して国民を欺く危険な政権に正面から対決しています。

 敵基地攻撃兵器であるスタンド・オフ・ミサイルは射程が最大3000キロに及び、沖縄を起点とした場合、アジアの大半が含まれます。衆院の論戦で志位和夫委員長は、敵基地攻撃能力の保有は憲法違反であるだけでなく、国際法違反の先制攻撃を前提とした米軍の「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」に参加し、自衛隊が米軍と一体に同能力を行使する危険を明らかにしました。

 参院の論戦では山添拓議員が、昨年10月にバイデン米政権が公表した「ミサイル防衛の見直し(MDR)」に、「米国のパートナーは、米国と同盟国のシステムが相互運用可能となるよう自国のIAMDに投資するよう奨励されるべきだ」と記述されていることを示し、日本の敵基地攻撃能力が米国のIAMDの一部に組み込まれることを浮き彫りにさせました(6日)。

 さらに山添氏が、敵基地攻撃能力の運用にあたり、集団的自衛権行使の際の「必要最小限度」をただすと、岸田首相は「個別具体的な状況に即して客観的、合理的に判断する」と答弁。事実上、同盟国(米軍)が勝利するまで武力行使が続く危険を明らかにしました。

国土の焦土化想定

図

 日本が集団的自衛権の行使で米軍の戦争に参戦して敵基地攻撃を行えば、相手国が報復で応じた末に国土が焦土化する最悪のシナリオが想定されます。

 小池晃書記局長は今後5年間だけで4兆円を投じ、防衛省が283地区(47都道府県)もの自衛隊基地の「強靱(きょうじん)化」を計画している問題を追及(2日)。核兵器をはじめ化学・生物、放射性物質などによる攻撃を想定し主要司令部を地下化しようとしているとして、「敵基地攻撃を行い、反撃されて日本中が攻撃にさらされる危険を前提にした計画だ」と批判しました。

 さらに岸田政権は、安保3文書に明記した民間空港・港湾の軍事利用の具体化に着手し、国民の生活圏にまで軍備増強を拡大する狙いです。仁比聡平議員は政府が佐賀空港へ陸上自衛隊駐屯地を新設し、オスプレイ配備を狙っていることを指摘(22日)。同空港を「絶対に軍に使わせてはならない」とする地元住民の圧倒的反対の声を無視して配備を進める政府の姿勢を批判しました。

平和外交こそ教訓

 「ウクライナは明日の東アジア」だとして大軍拡を正当化する岸田首相に対し井上哲士議員は、「絶対に戦争を起こさせない外交努力こそウクライナ情勢の最大の教訓だ」(27日)と指摘。特定の国を排除せず包摂的な地域の共同体づくりへの外交努力こそ紛争回避において重要だと強調し、日米中・ロシアが共に揃(そろ)い議論し合う、「ASEANインド太平洋構想(AOIP)」にこそ取り組むべきだと訴えました。

 憲法9条を生かし平和外交で他国と他国をつなぐ役割の発揮こそ世界から求められています。

暮らし

賃上げ、子育て 提案

 深刻な物価高騰が暮らしに打撃を与え続けています。ところが岸田政権の物価高対策は部分的・一時的なものばかり。「物価高騰に見合う賃上げ」を言うものの、具体策はありません。

 2日の予算委では小池書記局長が、大企業への内部留保課税で中小企業支援の財源を生み出し、最低賃金を時給1500円に引き上げる日本共産党の提案の実現を求めました。

 同時に、物価高対策に最も効果的な消費税減税を要求。インボイス(適格請求書)制度導入で、アニメ・声優業界の4人に1人が「廃業を検討」との調査を示し、導入中止を迫りました。

 岸田首相は党の提案を拒否。一方で、社会保障費を圧縮し、75歳以上の医療費窓口負担2倍化など負担増を押し付けています。「異次元」と鳴り物入りで掲げた子育て支援策は今年度予算にも盛り込んでいません。首相は予算審議後に「たたき台」を示すといいますが国会軽視の上、遅すぎます。

 こうした政府の姿勢のもとでも、子どもの医療費無料化や学校給食費の無償化へと政治を動かしてきたのが、粘り強い住民の運動と日本共産党の論戦です。

 吉良よし子議員は、学校給食法に食材費等が「保護者の負担」とあるのをタテに自治体が無償化を拒否する理屈が成り立たないことを国会質疑(2018年)で明らかに。自治体による給食費の全額補助に法律上問題がないと文部科学省に確認したことも運動の力となり、給食費を無償化した自治体数は17年度の76から22年12月時点で254へと広がりました。

グラフ

 子ども医療費無料化をめぐっては、今月20日の質疑で吉良氏が、窓口負担を軽減した自治体に国民健康保険の国庫負担金を減額する“ペナルティー(罰則)”の廃止を要求。政府が取りやめる方向で調整していることが報道されています。

 一方、国の制度として18歳までの医療費無料化の実現を求めた吉良氏に対し、加藤勝信厚生労働相は「医療費(予算)を増やせば子どもにプラスになるわけではない」と強弁。通院助成(中学卒業まで)がある市区町村は、11年の39・8%から21年には95・0%に広がっており(グラフ)、自治体の努力を無視する発言です。

 また、倉林明子議員は23年度に国保料(税)が全国で大幅に値上げされる恐れがあるとして国の財政措置を求めました(3日)。

 田村智子議員は28日、岸田政権の子育て策から抜け落ちている教育費負担の軽減を要求。大学等の授業料半額や入学金廃止、給付型奨学金を75万人規模にするのに必要な予算は年間1・8兆円だとして「軍事費を4・8兆円、今年度予算で増やすのをやめればすぐに実現できる」と迫りました。

原発

回帰方針の撤回迫る

 岸田政権は国民にまともな説明もせず、原発の新増設、老朽原発の運転期間延長などを盛り込んだ「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」を閣議決定(2月10日)し、原発推進に大きくかじを切りました。

 日本共産党は、原発推進の撤回を求めるとともに、再生可能エネルギーの大量普及に取り組むよう要求しています。

 岩渕友議員は15日、原子力規制庁の長官など幹部5人全員が昨年7月以降、原発推進の経済産業省出身者で独占されている実態を告発。原発の運転期間の見直しをめぐり、規制庁と資源エネルギー庁が7回にわたって事前調整を行っていたことをあげ、「規制庁が独立しているとは言えない」「原発回帰への大転換は新たな安全神話だ」と方針の撤回を迫りました。

 一方、日本維新の会は28日、原発再稼働のための原子力規制委員会の審査期間の短縮などの「原発責任明確化法案」を衆院に提出。国民民主党も岸田政権の「GX基本方針」について「評価する」としており、両党とも原発推進の立場です。

放送法

「政府介入」撤回要求

 放送法の解釈変更をめぐる総務省の行政文書が争点になりました。問題の本質は「公権力の介入を禁止する」放送法の立法趣旨がねじ曲げられ、憲法21条の「表現の自由」が侵害されたことにあります。

 放送法第1条は、目的を「表現の自由を確保する」こととし、第3条では「何人からも干渉され、または規律されることがない」と明記。伊藤岳議員は、1条と3条は制定以来一度も改正されていないと指摘し、「ラジオ放送を通じた大本営発表の虚偽情報で、国民が悲惨な戦争へ駆り立てられた痛切な反省が、放送法の原点だ」(23日)と訴えました。

 ところが、安倍政権は2014年から放送事業者の倫理規定である同法4条の「政治的に公平であること」を口実に、放送番組への干渉を展開。当時の安倍晋三首相が番組の街頭インタビューは政権批判ばかりで「おかしい」と発言したのを皮切りに、自民党は選挙報道の「公平中立」をNHKと民放5局に文書で要請するなど露骨な圧力を加えました。

 こうした圧力の裏で、同法の「政治的公平」を番組全体ではなく、一つの番組で判断できるよう解釈変更を迫っていたことが行政文書で明らかになりました。当時の礒崎陽輔首相補佐官が提案し、安倍氏が容認、高市早苗総務相(現経済安全保障担当相)が答弁で解釈変更させるまでを詳細に記しています。

 田村智子議員は、礒崎氏が同省に「意見しました」とツイッターで認めたことをあげ、「官邸の圧力で解釈変更がなされた外形的事実は明らかだ」(13日)と主張。山添拓議員は、高市氏の答弁は礒崎氏の提案通りだとして、「官邸の発案で、表現の自由に介入する解釈変更が行われた事実は重大だ」(15日)と強調しました。

 官邸主導でなされた解釈変更は、岸田政権の今なお続いています。放送法の原点に立ち返り、憲法が保障する「表現の自由」に政府が介入できる仕組みはただちに撤回すべきです。


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