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2023年3月30日(木)

主張

子どもの医療費

18歳まで無料化を国の制度に

 子どもの医療費無料化は子育て世代の切実な願いです。住民の粘り強い運動と日本共産党の地方議員の論戦で、無料化に踏み切る自治体は大きく広がりました。しかし、自治体によって対象年齢が異なる現状があり、いっそうの拡充が必要です。自治体からは全国一律の制度を求める声が上がっています。自治体ごとで改革を進めるとともに、18歳までの無料化を国の制度として実現すべきです。

自治体間の違いの解消を

 現在の医療保険は、かかった医療費の3割(小学校入学前は2割)を患者・家族が窓口で支払います。子育て世代にとって軽い負担ではありません。生活困窮世帯には受診の大きな妨げにもなります。

 子どもは病気やけがが多く、重症化リスクも高いため早期の診断と治療が大切です。発熱しても手元にお金がなくて病院にいけない状況は、病状が急変しやすい子どもにとって命に直結する問題です。ぜんそくなど慢性疾患で継続的な治療が必要な子どものいる家庭には長い期間の負担となります。お金の心配をせずに受診できる仕組みが欠かせません。

 無料化を求める長年の取り組みは政治を動かし、全国で成果を挙げています。厚生労働省によれば、「中学校卒業まで」(通院)を無料・助成する自治体は2011年で全市区町村の39・8%でした。それが21年は95・0%に広がりました。「高校卒業又はそれ以上まで」(通院)で見ると、11年に全市区町村の2・2%だった無料化・助成の自治体は21年に47・2%へと拡大しました。

 問題は、自治体ごとの負担の違いが残されていることです。通院助成で所得制限のある自治体は12・6%、一部自己負担がある自治体は34・8%です。今年1月、神奈川県、同県の市長会と町村会は「全国どこに住んでも同じ制度の下に医療が受けられるよう、全国一律の子どもの医療費助成制度の創設を」と政府に申し入れました。全国知事会も3月に行った子ども政策に関する緊急要請で、医療費助成について「全国一律の制度の早期創設」を訴えました。

 全国で18歳まで無料にするには約5000億円確保すれば実現できます。23年度政府予算に計上された軍事費約6兆8000億円の10分の1以下の規模です。日本共産党の吉良よし子参院議員は20日の予算委員会で、自治体のばらつきを一刻も早く解消し、18歳までの無料化を決断するよう岸田文雄政権に迫りました。これに対し加藤勝信厚労相は「子どもにプラスになるとは必ずしもいえない」などと後ろ向きです。医療費の無料化は、子ども・子育て政策の中でも命と健康に関わる重要な課題です。国として無料化する制度に背を向けることは許されません。

地方選で実現に道開こう

 国は、子ども医療費無料化を独自に行っている自治体に対し、補助金を減額する「ペナルティー」を科し、無料化の努力を妨害してきました。ペナルティーの廃止を求める声が広がる中、政府も減額措置を「廃止」する方針だと報じられています(「共同」23日配信)。子どもの医療費無料化の流れを止めることはできません。統一地方選は、無料化を促進させる重要な機会です。無料化を早くから掲げ、実現に尽力してきた日本共産党の前進が絶対に必要です。


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