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2023年3月29日(水)

グーグル日本 労組結成の思い

退職強要を止めたい

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(写真)グーグル日本オフィス前宣伝に集まったJMITU組合員と支援者たち=7日、東京都渋谷区

 世界最大のネット検索エンジンで有名なグローバル大企業グーグル(親会社アルファベット)の日本法人グーグル合同会社の労働者たちが、JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)アルファベットユニオン支部を結成しました。「民主主義的なウェブ」というグーグル本来の理念を取り戻そうと、無法な退職強要を止めるたたかいを広げています。

 3月2日、日本のグーグル労働者にメールが届きました。「ハロー、○○(労働者のニックネーム)」というフレンドリーな書き出しですが、内容は「あなたのロール(役割)はなくなる」と退職を迫るものでした。14日には「社内ネットワークへも接続できなくなる」と追加通告。リストラ対象者が質問しても、誰も何も答えません。

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(写真)小林佐保さん

 「今回のやり方は、あまりにも一方的です」と、アルファベットユニオン委員長の小林佐保さんは言います。

 3月22日の団体交渉で、小林さんは思いのたけを会社にぶつけました。「グーグルは人を大切にする、解雇はしないと、これまで説明されてきた。子育てしながら働く先輩は希望だったのに、産休・育休中の人までリストラ対象としたことは、グーグルの自殺行為だ」

 会社は組合に、退職を明確に拒否した人に退職勧奨は繰り返さない、不利益は課さないことなどを約束しました。

 日本共産党の宮本徹議員は3月10日の衆院厚生労働委員会で、グーグルリストラについて、「形式的には退職勧奨でも、事実上の指名解雇ではないか。解雇は合理的な理由がなければ認められない」と追及。加藤勝信厚労相は、「退職勧奨という名目でも、労働者の同意を前提としない、使用者による一方的な労働契約の解約は解雇に該当する」と答え、労働組合との協議や解雇回避努力が求められることを指摘しています。

「民主的ウェブ目指す」なら―民主的な経営こそ

 グーグルは、ファンド系の大株主からリストラ実施を迫られ、今年1月、世界で約1万2000人の削減を発表しました。日本では百数十人になると推測されます。

 日本のリストラ対象者には、産休育休中の女性も含まれています。評価の高い労働者にも退職勧奨メールが届いています。

 小林さんは、「IT業界は流動性が高く、退職加算金が出るならやめてもいいという人もいます。希望退職募集だけでも6%の人員削減は十分達成できたはずです」と指摘。「労働者とのコミュニケーションがありません。対象となっていない労働者もみんなダメージをうけています」と話します。

 小林さんは、グーグルで働いて3年弱。大学では数学を専攻し、サークルで友人らからプログラミングを学びました。

 就職活動のインターンシップ(職業体験)で、「グーグルは多様性を大事にします」と募集していた女性エンジニア育成プログラムに参加。修了後、グーグルに正式採用されました。

 担当するグーグル製品・サービスについて、障害をもつ人でも利用できる仕組みを開発しています。「どれだけ利用しやすいかの基準が設けられていて、それを達成できたときは、みんなでお祝いします。とても大事な仕事で、やりがいをもっています」

 グーグルには「邪悪になるな」「正しいことをせよ」という標語があります。組合結成宣言は、「グーグルの目指す民主主義的なウェブをつくるというミッションを実現するためには、会社の経営自体が民主的である必要がある」と掲げます。


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