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2023年3月29日(水)

主張

安保法制施行7年

敵基地攻撃でいっそう危険に

 安倍晋三政権が憲法の立憲主義と平和主義を乱暴に破壊し強行した安保法制が2016年3月29日に施行されて7年がたちます。岸田文雄政権は昨年末、「国家安全保障戦略」など安保3文書を改定し、敵基地攻撃能力の保有を決めました。安保法制が可能にした集団的自衛権の行使として、日本への攻撃がなくても、海外で戦争している米軍を支援するため自衛隊が相手国を攻撃する危険が生まれています。

武力行使が際限なく拡大

 「国家安全保障戦略」は、安保法制(15年9月19日成立)について「安全保障上の事態に切れ目なく対応できる枠組みを整えた」と指摘しています。その上で、安保3文書が示す「戦略的な指針と施策は、その枠組みに基づき、…戦後の我が国の安全保障政策を実践面から大きく転換するものである」と述べています。

 安保法制は、歴代政権が違憲としてきた集団的自衛権の行使を定めるなど、海外での米国の戦争に日本が参加するいくつもの仕組みをつくり、戦後の安保政策を法制面から百八十度転換するものでした。これに対し、今回の安保3文書は、この大転換を実践面から推し進めるものだというのです。

 これまで安保法制に基づく集団的自衛権の行使は、実際には大きな制約がありました。国会の審議で当時の安倍首相は、相手国領域で日本が集団的自衛権を行使する例としては「ホルムズ海峡における機雷掃海しか念頭にはない」と答えていました。「敵基地攻撃能力は持たない」という従来の政府方針を前提にしていたからです。

 ところが、今回、歴代政権が一貫して否定してきた敵基地攻撃能力の保有を打ち出したことで、日本は集団的自衛権の行使として米国の戦争に協力し、相手国領域にミサイル攻撃などを仕掛けることができるようになります。安保法制が敷いた危険な道を制約なく突き進めるようにするものです。

 しかも、安保法制に基づく集団的自衛権の行使には明確な限度がありません。

 政府は、集団的自衛権行使の要件として▽日本と密接な関係にある他国(米国)が攻撃され日本の存立が脅かされる▽他に適当な手段がない▽必要最小限度の実力行使―を挙げてきました。このうち三つ目の要件については「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃を排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るための必要最小限度(の実力行使)を意味する」と説明してきました。

 「必要最小限度」と言うものの、「他国に対する武力攻撃を排除」するまでたたかい続けるということです。米国が戦争を続ける限り、日本はどこまでも付き従い、自衛隊の武力行使は際限なく拡大していくことになりかねません。

日本への報復避けられず

 安保法制に基づく集団的自衛権の行使として敵基地攻撃をすれば、報復攻撃は避けられません。政府は、相手国からの核兵器や生物・化学兵器などによる攻撃を想定し、これに耐えられるよう全国の自衛隊施設を「強靱(きょうじん)化」する計画を進めようとしています。

 敵基地攻撃能力の保有と大軍拡に反対し、安保3文書の撤回とともに、安保法制の廃止を実現することがいよいよ切実な課題となっています。


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