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2023年3月24日(金)

きょうの潮流

 ギリシャ神話の女神テミスは、法と正義の体現者として知られます。左手にもつ天秤(てんびん)は公平・平等を、右手の剣は裁きによって正義を実現するという強い意志を表しているといいます▼それを題名に入れた今期のドラマ「女神(テミス)の教室」は、法律家をめざす若者が通う法科大学院を舞台にした群像劇でした。主演の北川景子さん演じる裁判官の教員は、法で裁くことの意味を学生たちに問いかけ、人を知らなければいい法律家にはなれないと説きます▼他者に寄り添うことで自分にはなかった視点や考え方、感情を知ることができる。その豊かさは法律家としての「武器」になる―。ドラマを通じたメッセージは法に携わる者だけに限らない、大切なことを伝えていました▼自身や支援者らのがんばりで再審無罪の道を開いた袴田巌さん。無実を訴え続けて57年、いまだ死刑が確定している彼の裁判の経過をたどると、いかに日本の刑事司法が人間不在で人権をふみにじってきたかがよくわかります▼事件当初からえん罪をいわれながら、袴田さんの言い分に耳を傾けようともせずに犯人と決めつける。捜査機関による証拠捏造(ねつぞう)の可能性さえ指摘される。公平や正義とは正反対の姿。検察側は過ちを省みて一刻も早く審理をやり直すべきです▼テミスの像は目隠しされたものが主流です。それは偏見をもたず、貧富や権力にも左右されず、日本の憲法14条に記されている法の下の平等を表すとされています。相次ぐえん罪に、司法の原点をかみしめたい。


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