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2023年3月22日(水)

きょうの潮流

 「国に忖度(そんたく)した残念な結果」だが、「最高裁判決を克服する第2ラウンドの出発点として全力でがんばっていく」。東京電力福島第1原発事故をめぐって東電と国に損害賠償を求めた「いわき市民訴訟」の原告団長、伊東達也さん(81)は力を込めて決意を語りました▼仙台高裁が先日、国の責任を認めない判決を出しました。昨年6月に4件の集団訴訟で最高裁が国の責任を否定する判断を示して以降、国を被告にした最初の高裁判決でした。最高裁判決は、国が東電に対策を取らせても事故は避けられなかった可能性が高いというもの▼伊東さんは「事故がなぜ起きたのかという問いへの答えは永遠に閉ざされてしまう」と批判してきました。国の責任を認めなかった今回の高裁判決ですが、最高裁が明確に判断を示さなかったことに踏み込んだものがありました▼たとえば国の機関が公表した地震予測「長期評価」。高裁は、公表した2002年の末までに敷地を超える大津波を想定でき、国も対策を命じる義務を負ったと指摘します▼さらに防潮壁の設置や浸水を防ぐ水密化対策で「重大事故が発生することを避けられた可能性は、相当高いものだった」と判断。国が規制権限を行使しなかった不作為は「極めて重大な義務違反」と繰り返し指弾しました▼「大きな一歩をつかんだ」。原告団・弁護団は国の責任を明らかにする最高裁判決を勝ち取る一大市民運動を起こすといいます。「たたかいをあきらめるわけには絶対にいかない」と伊東さん。


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