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2023年3月22日(水)

温室ガス「35年60%減必要」

1.5度目標へ国連パネル指摘

 国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は20日、気候変動やその影響・リスクに関する科学的知見や温室効果ガスの排出削減策など社会経済的知見をまとめた第6次統合報告書を公表しました。地球温暖化への世界的取り組みの科学的根拠となる文書で、対策の抜本的強化を求める内容となっています。

 報告書は気候変動の現状について、2011年から20年の地球の表面温度が19世紀後半に比べすでに1・1度上昇しており、気候変動の進行が「大規模な損害と、不可逆的な損失をもたらしている」と指摘。33億~36億人が気候変動の影響を最も受けやすい環境で暮らしていると述べています。

 気温上昇を抑えるためには、温室効果ガスの「大幅で急速で持続的な削減」が必要だと強調。将来の気温上昇の複数のシナリオを提示するなかで、気温上昇を1・5度未満に抑えるためには35年の温室効果ガス排出を19年比で60%削減する必要があると指摘しました。このシナリオでは、30年に43%、40年に69%、50年に84%削減となっています。各国の削減目標の現状では、今世紀中に1・5度上昇すると警告しています。

 また排出削減のための「緩和」と、気候変動の被害を減少させる「適応」を組み合わせた「気候変動に対して強靱(きょうじん)な発展」のためには十分な資金が必要だと強調。市民社会や民間企業とともに、政府の行動が極めて重要な役割を果たすとしています。

 この10年間に大幅な排出削減と「適応」措置を行えば、「人間や生態系への損失と被害を減らせる」と指摘。特に低炭素・ゼロ排出技術の実用化や、エネルギー需要削減、化石燃料の使用量の大幅削減、再生可能エネルギー導入の必要性を訴えています。平等や気候正義、さまざまな立場の人々の包摂、公正なエネルギー移行などの重要性も強調しています。


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