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2023年3月21日(火)

きょうの潮流

 まもなく新学期。子どもたちに新しい教科書が配られます。新1年生は初めて手にした教科書のページをどんな気持ちで開くでしょうか。わくわく、どきどき? 興味津々? 中には学校での勉強に不安を感じている子もいるかもしれません▼さて、教科書を巡って最近ある事件がありました。大阪府藤井寺市の教科書選定委員だった元中学校長に、ある教科書会社の当時の役員らが現金提供や接待をして贈賄罪に問われたのです。文部科学省は、この会社の教科書を次の検定で不合格にする「罰則」を適用する方針だといいます▼自社の教科書を使ってもらおうと賄賂を渡す。本来は教育的な視点から教科書を選ぶべき選定委員がそれを受け取る。子ども不在で教育を食い物にする行為です。同時に、なぜそうした行為が起こるのかということにも目を向けたい▼政府は予算を抑えるため教科書の価格を低く設定してきました。出版労連発行の『教科書レポート』によると小学校の国語の教科書は1学年平均320ページで751円。家庭科にいたっては142ページで144円。全面カラーでこの値段は一般の書籍には考えられない安さです▼加えて、子どもが減り、デジタル教科書の発行も求められ、経営はどこも苦しい状況です。教科書の選定は4年に1回のため一度はずれると4年間使ってもらえず、各社は生き残りに必死です▼教育の場をけがす不祥事を繰り返さないためには、教科書出版を巡る施策や制度の在り方も問われなければなりません。


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