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2023年3月19日(日)

主張

若年女性支援事業

卑劣極まる妨害から活動守れ

 家に居場所がなく、夜の街をさまよう10代の少女たちに寄り添い、共に歩む活動を都内で続ける一般社団法人Colabo(コラボ=仁藤夢乃代表)が、執拗(しつよう)な攻撃にさらされています。ネット上で広がった「コラボが公金を不正受給している」などのデマが、昨年12月以降、直接の妨害行為にエスカレートし、少女やスタッフの安全を脅かしています。自民党や日本維新の会などの国会・地方議員らがコラボに不正があるかのように描く質問を続け、攻撃をあおっていることも見過ごせません。

声をかけて、つながる

 コラボは新宿・歌舞伎町や渋谷の繁華街の一角で月数回、夜間から深夜の時間帯にバスとテントを設置し、無料の「バスカフェ」を開いています。カフェでは食事、スマホの充電、必要な物品や衣類、泊まる場所のない少女には宿泊場所を提供するなどして継続したつながりを作る活動をしています。

 夜の街にいる少女たちの多くは、自分からは助けを求めません。助けを求めてよいと知らなかったり、行政や大人は信用できないと思っていたりするためです。そうした少女たちに「一人?」「泊まるところあるの」と声をかけるのは、もっぱら買春者か性搾取業者にあっせんするスカウトです。コラボは少女たちを性暴力や性搾取から守るために、少女たちと年齢が近いスタッフが組を作って街を歩き、困っていそうな少女を探して声をかけてつながるアウトリーチ活動を先進的に行ってきました。

 昨年、超党派の議員立法で成立した「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(女性支援法)は、コラボのような活動の重要性を認めています。居場所がない少女の支援は本来行政の仕事ですが、少女らが公的支援につながりにくいことを踏まえ、関係機関と民間団体との協働で切れ目ない支援を実施すると定めました。

 コラボは、東京都が国の補助金を受けて行っている「若年被害女性等支援事業」を委託され、2021年度は年2600万円の委託料を受けています。22年、その会計報告に「不正がある」として住民監査請求が行われましたが、監査の結果コラボに対する公金の過払いは1円もありませんでした。それどころか実際には多額の自主財源の持ち出しがあり、同事業には年4000万円超かかっていたことが確認されました。

 不正がないことが明らかになったにもかかわらず、コラボへの攻撃はやむどころか悪化しています。複数人の男がバスカフェ周辺に立ちはだかりカメラを回す。男たちが夜回りに出たスタッフを取り囲み、動画撮影しながら「税金返して」「何で逃げるの」と嫌がらせをする―。これらの攻撃はコラボに少女たちがつながることを妨害し、性搾取や性暴力の危険にさらす、許しがたい人権侵害です。

力合わせ逆流はね返そう

 東京地裁は14日、妨害の中心人物の男性にバスカフェとスタッフへの接近禁止などの仮処分決定を出しました。行政や警察は少女の安全と事業の円滑な遂行を守るために妨害を断固排除すべきです。

 コラボへの攻撃の本質は、女性支援法の成立などのジェンダー平等の前進を嫌い、女性差別や性搾取などの温存を狙うバックラッシュ(逆流)です。連帯して声をあげ、逆流をはね返しましょう。


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