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2023年3月14日(火)

主張

マイナ保険証法案

負担・混乱もたらす強制やめよ

 岸田文雄政権が、現行の健康保険証を2024年秋に廃止してマイナンバーカードに一体化する法案を国会に提出し成立を狙っています。任意であるマイナンバーカードの所持を事実上強制し、国民と医療機関に負担と混乱をもたらすとして、反対する声が広がっています。保険証廃止に道理はありません。

医療機関からも反対の声

 現行法では、被保険者(保険に加入し医療サービスを受ける人)に対して、健保組合などの保険者が健康保険証を発行することが義務づけられています。国民皆保険制度の大前提です。

 法案は関連する法律を一括して改定し、保険証をマイナンバーカードに一体化します。現行保険証廃止以後、カードを持たない被保険者に対しては、「資格確認書」を発行して、保険診療を受けられるようにするとしています。

 しかし資格確認書に記載されるのは現行保険証と同様、氏名、生年月日、被保険者番号などです。現行保険証を廃止する意味はありません。

 資格確認書を得るには本人の申請が必要です。有効期間は最長1年とされ、更新手続きをしなければなりません。忘れたり、病気などで手続きできなかったりすれば、保険料を払っていても保険診療を受けられなくなるおそれがあります。資格確認書を交付する保険者の事務負担も増加します。

 医療機関には、一体化にともなって被保険者の資格をオンラインで確認することが義務づけられます。現行保険証なら窓口で提示するだけで済むのに、マイナンバーカードで保険資格を確認するには、医療機関がそのシステムを導入しなければなりません。

 全国保険医団体連合会が行った会員アンケートでは65%が現行保険証廃止に反対しました。82%が「カードの利用に不慣れな患者への窓口対応の増加」、74%が「システムの不具合時に診療継続が困難になる」と答えています。

 このほか法案には、マイナンバーの使い道を、国会審議なしに政府の判断で広げられる規定も盛り込まれています。マイナンバーの使途は現在、社会保障、税、災害対策の3分野に限定されています。それを、法律で認められた業務に「準ずる事務」なら省令で定められるようにします。国民の声を聞かずに政府が恣意(しい)的に使途を拡大する危険があります。

 マイナンバーと年金などの公金受取口座のひも付けについて、本人から「不同意」の回答がなければ同意とみなす仕組みもこの法案で導入します。デジタル庁の有識者会議で異論が出ていましたが、法案に盛り込みました。

個人情報保護ないがしろ

 この法案の根本にはマイナンバーカードの所持を国民全体に強いる政策があります。政府は、地方自治体に対して、カードの交付率によって地方交付税の配分を差別する方針までとっています。

 マイナンバーはこれを入り口にしてさまざまな個人情報を得ることができます。安倍晋三政権以来、政府は個人情報の利活用一辺倒で、個人情報保護をないがしろにしています。

 国民の不安をよそに、マイナンバーカードを強要することは許されません。健康保険証との一体化法案は撤回すべきです。


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