しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年3月14日(火)

きょうの潮流

 「労働能力が制限されうる程度の障害があったこと自体は否定できない」。そう述べて大阪地裁は先月、交通事故で亡くなった聴覚障害のある女の子が将来得られるはずだった収入は労働者全体の平均賃金の85%をもとに算出する判断を示しました▼父親は「結局、裁判所は差別を認めたんだな」と肩を落とします。大阪聴力障害者協会は緊急声明を公表。「共生社会の実現を推進している国、司法が障害者差別をしてもよいと言っているのと同様の後退的判決内容です」▼障害にもとづく差別は人間固有の尊厳、価値を侵害するものだ―。障害者権利条約は、そううたいます。障害者が経済的にも障害のない市民と同様に社会参加できなければならないとも▼障害者それぞれの障害は、社会の側がどれだけ障壁を取り除いたかで重くも軽くもなります。障害者差別解消法は障害者の能力が制限されないよう障壁を取り除くことを要請します▼障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会事務局長の家平悟さんは、司法はいまだに人権条約を考慮していないと批判。低すぎる年金など障害者の実態を変えるよう運動を強めなければと力を込めます▼国連障害者権利委員会は昨年、日本の初審査を実施。障害者を排除しない包摂的な労働環境での同一労働同一賃金を保障するよう勧告しました。障害者の賃金は85%で良しとする社会なのか、障壁を除いて100%にする社会か。障害者権利条約はわたしたちのめざすべき社会のあり方を指し示しています。


pageup