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2023年3月11日(土)

主張

東日本大震災12年

教訓に学び命守る対策強化を

 東日本大震災の発生からきょうで12年です。沿岸部を大きな津波に襲われた岩手、宮城、福島の3県では復興の道はまだまだ険しく、被災者の暮らしと生業(なりわい)の再建を支える取り組みが不可欠です。とりわけ東京電力福島第1原発事故によって甚大な被害を受けた福島では、地域を再生すること自体に計り知れない困難を抱える自治体が少なくありません。国は、被災者の切実な願いに真剣に向き合い、一層の支援に力を入れる必要があります。巨大災害の痛苦の教訓に学び、国民の命と暮らしを守る対策を抜本的に強めることは、災害多発国の政治の責任です。

取り残さない支援を強め

 国は2021年3月に21年度以降の5年間の復興基本方針を決めました。そこでは「原子力災害被災地域」と「地震・津波被災地域」とに区分し、後者では「産業・生業の再生も順調に進展」「復興の総仕上げの段階に入った」と記しました。被災地の抱える現実とあまりに落差がある認識です。

 20年から続くコロナ禍だけでなく、昨年からは電気代をはじめとする物価高騰の影響が重くのしかかっています。観光客などの減少も回復しないまま、光熱費などの出費が増えるダブルパンチに悩む経営者は多く、事業再建・継続のために受けた融資の返済のめどがたたない事業者もいます。

 未曽有の災害による被害から暮らしや生業を取り戻すには時間がかかります。回復途上でつまずかないよう、実情に合った個別ケースごとのきめ細かな対策、安心できる手厚い支援こそ重要です。

 心のケア対策をはじめとする医療の仕組み強化、高齢者への見守り支援が継続できる地域の体制構築など公的な支えが求められる分野は数多くあります。長期的な支援が重要になっている時に、国が支援の手を緩めることがあってはなりません。

 岸田文雄政権が、東日本大震災の復興費に充てている「復興特別所得税」の税収の約半分を、軍拡の財源に回そうとしていることは重大です。復興に必要な予算はまだまだ必要なのに、敵基地を攻撃するための軍拡に流用することは、復興の妨げになるだけでなく、被災者の気持ちにも逆らいます。

 昨年3月、福島県沖を震源とする強い地震が東北各県に被害を与えました。被災地は東日本大震災後も地震や台風・大雨に何度も遭っています。災害から住民を守る対策を怠ることはできません。

 岩手・宮城・福島の3県は、日本海溝・千島海溝周辺を震源域とする巨大地震の新たな津波被害想定(20年に国が公表)に基づき、対策の練り直しに着手しています。浸水面積は東日本大震災時の1・3倍に広がるため、自治体は見直しによる新たな負担が避けられなくなっています。国は自治体からの要望に応じ、住民の命を救うために万全の措置を取るべきです。

災害多発国の政治の責任

 南海トラフ巨大地震の発生の切迫性は高まっています。日本列島には約2000の活断層があり、いつどこで地震があってもおかしくありません。気候変動の影響で激甚化する大雨や台風への対応も急がれます。災害に備え、被害拡大を抑える予防に力点を置いた政策に転換することが求められます。「想定外」による悲劇を繰り返すことがあってはなりません。


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