2023年3月9日(木)
雇用のジェンダー格差 深刻
ILO報告書 新指標で浮き彫り
国際労働機関(ILO)は6日、雇用でのジェンダー格差は、従来考えられていたよりも深刻で、過去20年ほとんど改善されてこなかったとする報告書を発表しました。
ILOは、今回新たな指標「ジョブ・ギャップ(仕事の格差)」を導入し、「就職を希望しながら職についていないすべての人」の数を推計しました。2022年は、失業率は世界全体で5・8%(2億500万人)でしたが、「ジョブ・ギャップ」は12・3%(約4億7300万人)でした。
「ジョブ・ギャップ」は、仕事の世界での男女格差を浮き彫りにしています。失業率では世界全体で男女の差がほとんどない一方で、希望しながら職に就いていない女性は全体の15%、男性が10・5%と大きな差があります。同指標の男女差は05年以来改善がみられていません。
報告書は、就職が困難となる女性の割合は、途上国でさらに深刻だと指摘。低所得国では女性は24・9%で、16・6%の男性を大きく上回りました。
背景には、女性に無報酬のケア労働を含む家族的責任が大きくのしかかり、職探しや就職が困難となる状況があります。報告書は、「失業率にだけ注目すると、就職で女性が直面する課題を過小評価することになる」と指摘しました。
収入の男女格差について、報告書は、家業手伝いなどの「脆弱(ぜいじゃく)な雇用」で女性が多数を占めており、低い雇用率と合わせて女性の収入を減らしていると指摘しました。