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2023年3月1日(水)

主張

予算案の衆院通過

戦争国家への企てを止めよう

 2023年度予算案が、自民党・公明党などの賛成多数で衆院本会議で可決され、参院に送られました。敵基地攻撃能力の保有を宣言した安保3文書にもとづいて、5年間で43兆円もの空前の大軍拡を進める初年度の予算です。戦争国家づくりの企てのため、手当たり次第に軍事費を調達し、くらしの予算は軒並み圧縮します。日本共産党は組み替え案を提出しました。参院での徹底審議を通じて抜本的に編成し直さなければなりません。

敵基地攻撃の兵器削除を

 一般会計総額は114兆3812億円と過去最大です。軍事費は前年度比1兆4214億円増えて6兆8219億円と異常な突出ぶりです。

 米国製の長距離巡航ミサイル「トマホーク」の購入、極超音速ミサイルの研究などは敵基地攻撃能力の具体化です。これらの兵器は憲法9条を持つ日本で保有自体、許されません。削除すべきです。

 トマホークについて岸田文雄首相は「実際の能力が明らかになる」として国会審議で具体的な説明を拒んできました。27日の衆院予算委員会でようやく400発購入することを明らかにしましたが、単価は示しませんでした。国会の議決をへて予算を支出する財政民主主義を無視しています。

 軍事費の財源確保は禁じ手の連続です。

 防衛省予算とは別に、財務省が所管する「防衛力強化資金」を創設し、特別会計からの繰り入れ、国有財産の売却のほか国立病院などの積立金やコロナ対策事業の残金まで流用して4兆5919億円を確保します。このうち3兆3806億円を積み立てて24年度以降の軍事費まで先取りします。このほか東日本大震災の復興特別所得税の増税・流用や、建設国債の充当にも手をつけます。

 公共投資の財源となる建設国債を軍事費に充てることは歴代の自民党政権が否定してきました。巨額の戦時国債を財源としてアジアへの侵略戦争に突き進み、国民のくらしを破壊した歴史の教訓を踏みにじるものです。

 社会保障費は、高齢化で増える「自然増」を23年度も圧縮します。75歳以上の高齢者の医療費窓口負担の2倍化はやめるべきです。年金は物価上昇分を上回る引き上げが不可欠です。

 岸田首相は、当初掲げた「異次元の少子化対策」の中身を明らかにできませんでした。「子ども予算の倍増」についても何を基準に倍増するのか語れず、施策は6月に決める「骨太の方針」で示すと繰り返すだけです。

くらし守る本来の姿こそ

 子育て世代が最も求めているのは教育費の負担軽減です。教育の無償化に向けて学校給食の無償化、高校授業料無償化の所得制限撤廃、大学・専門学校の授業料半減、給付制奨学金の拡充に踏み出すことが政治の役割です。

 物価高に対して岸田政権はまともな対策を持っていません。中小企業支援の抜本的拡充をはじめ、賃上げを実現するために国が責任を果たすことが何より重要です。大企業が抱える巨額の内部留保に適正な課税を行えば、十分な財源を生み出すことができます。

 国民の命とくらしを守る予算本来の姿を取り戻すことが求められています。


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