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2023年2月16日(木)

宇宙軍拡も日米一体

米軍のセンサー 日本が打ち上げ

 米国主導の宇宙軍拡のもとで、日本による宇宙の軍事利用が強まっています。1月には、日本の衛星に搭載する米軍のセンサーが横田基地に到着。2024年度中の打ち上げが計画されています。

 米軍横田基地に到着したのは、日本の準天頂衛星に搭載する観測機器です。米軍横田基地は「(1月17日に)米宇宙軍宇宙システム軍団を支援するため、日本の準天頂衛星システムに搭載する観測機器(ペイロード)2基のうちの1基目を送り届けた」と発表しました。

 この観測機器は、宇宙領域認識のための光学センサーで、運用者は米国防総省。2024年度をめどに、新型の「H3ロケット」で打ち上げる予定です。20年12月に、日本の宇宙開発戦略推進事務局と米宇宙軍による覚書調印を受けての措置です。

 宇宙を「戦闘領域」と位置付ける米国は、宇宙軍の創設など宇宙の軍事利用を進めています。今回の観測機器の打ち上げにより、米軍にとっては、アジアでの静止軌道上での宇宙領域把握機能を強化することが狙いとみられます。一方、日本の防衛省も米国と連携して宇宙を監視する体制の構築を急いでおり、宇宙空間が軍拡の新たな舞台となっています。

 国家安全保障戦略を含む「安保3文書」は、「宇宙の安全保障分野での対応能力を強化する」ことを強調しています。岸田文雄首相は昨年12月23日、今年夏をめどに宇宙の安全保障構想を策定する方針を表明しました。日本政府による宇宙安全保障関連の戦略文書作成は初めてとなります。

 憲法違反の敵基地攻撃を行うには、標的の正確な位置の把握が必要です。情報収集、通信、測位の機能は宇宙空間から提供されることになります。宇宙領域での「脅威」を監視する対策も課題となっています。

 1月に行われた日米安全保障協議委員会(2プラス2)では、「宇宙における攻撃は同盟の安全に対する明確な挑戦」だとして、宇宙空間においても日米安保条約第5条の発動があり得ることを確認。自衛隊と米軍による共同の軍事作戦を宇宙でも可能にするものです。

 準天頂衛星システム 米国が運用するGPS(全地球測位システム)を補完・補強するため日本が導入したシステムです。同システムの測位衛星は、日本での利用に適した独特な「準天頂軌道」や静止軌道に投入され、GPS衛星と同じ信号などを発信します。通常の静止衛星は赤道上に位置します。その軌道を斜めに傾け日本の真上を通る軌道にすることで、日本からは天頂付近に長時間とどまって見えます。そのため「準天頂」と呼ばれています。日本政府は、GPSなしでも日本周辺で測位可能な“日本版GPS”の実現に必要な7基体制の構築を計画しています。


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