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2023年2月15日(水)

「産経」社説の特異な立場

 「産経」14日付が松竹伸幸氏に対する除名処分をめぐり「共産党の除名騒動 危うい強権体質が露(あら)わに」と題する社説(「主張」)を掲げました。

 社説は除名処分の理由について、日本共産党の志位和夫委員長が、「異論をもっているから排除したわけではない」と述べたことや、「結社の自由」に関する最高裁判例も踏まえ、紹介しています。

 ところがこれに続けて唐突に、「共産党にとって『結社の自由』は、同じ憲法21条に明記されている『言論、出版の自由』よりも上位にある」などと結論付け、「一般党員は絶対服従を強いられ(る)」と事実をゆがめて攻撃しています。

 しかし日本共産党も本紙も、一般に「結社の自由」と「言論、出版の自由」のどちらかが優位にあるなどと主張したことはありません。いずれも表現の自由に関わる重要な人権だととらえています。

 問題は、松竹氏自身が「結社の自由」に基づき日本共産党の綱領と規約を認めて加入しており、そうである以上、共産党の綱領や規約、党の政策や路線を外部から批判、攻撃することは党員であることと両立しないということです。どうしても党と異なる見解を主張し党を批判したいのなら、離党の自由も、離党後の言論の自由も100%保障されています。

 しかも処分の経過についていえば、同社説が志位氏の会見での発言を引用している通り、「異論を党規約に基づく正式ルートで表明することを一切やらないまま突然、外から党の規約や綱領の根本的立場を攻撃した」ことが、党のルール違反とされたものです。これらは当然のことで、どの党にも当てはまることです。

 「党員は絶対服従を強いられる」などと決めつけていますが、もし本当にそうなら、100年を超える歴史と、約26万の党員を擁し、日本社会に一定の政治的影響力をもちうるはずもありません。

 同社説は「朝日」や「毎日」社説への「異様なまでの非難」が「証拠」だとして「外部からの異論さえ許さぬ排他的な党体質が露わになった」とまで述べています。しかし論理が支離滅裂で破綻しています。

 志位氏と本紙が「朝日」「毎日」の社説を厳しく批判したのは、党が公にした事実を全く踏まえず、松竹氏の処分を「異論封じ」と決めつける不公正な「論難」に反論したものです。政党の内部問題へのメディアによる乱暴な「批判」は、「結社の自由」に基づく政党の自律権への侵害となると警告したのも当然の反論でした。

 政党とともに、民主政治のプロセスの健全な展開を支えるべきメディアが、政党に対し不公正な批判を繰り返すこと自体が、民主政治のプロセスを大きくゆがめることになるのです。

 これをもって日本共産党に「排他的体質」と決めつける同社説こそ特異な立場を示すものです。(中祖寅一)


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