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2023年2月15日(水)

“政府からの科学の独立 人類的意義”

学術会議歴代5会長 声明

政府の「改革」案 再考求める

 政府が今国会で狙う日本学術会議法の改悪問題で14日、学術会議の歴代会長5氏が連名で、岸田文雄首相あてに学術会議の独立性と自主性の尊重・擁護を求め、法改正をともなう「改革」を「根本的に再考することを願う」とする声明を発表しました。


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(写真)記者会見する(左から)黒川、広渡、大西の各氏=14日、日本記者クラブ

 学術会議の元会長5人が連名で声明を出すのは初めてで、存命の、吉川弘之、黒川清、広渡清吾、大西隆、山極寿一の5氏全員が名前を連ねています。

 政府は2020年、学術会議が推薦した会員候補6人の任命を法に反して拒否し、その後、学術会議の組織のあり方の見直しに着手。学術会議側は6人の即時任命を繰り返し求めながら、自主的改革を進めていましたが、政府はそれを無視し、昨年12月、会員選考に第三者を関与させる改悪法案を今国会に提出するとの方針を公表しました。

 歴代会長の声明は、会長の職を務めた者として、「学術会議と政府の正常ならざる関係を深く憂慮し」、科学者代表機関の独立性と自主性について「指摘することが責務」だと表明。科学者コミュニティーの政府への科学的助言は政府の利害から独立に自主的に行われるべきもので、「その独立性を保障することこそ科学の人類社会に対する意義を十全ならしめる必要条件であり、一国の政府が恣意(しい)的に変更してよいものではない」と強調しています。活動の独立性には会員選考の自律性が不可欠であり、第三者による「介入システムは、これとまったく両立しない」と指摘しています。

 元会長らは同日、都内で会見。黒川氏は、民主主義国であるなら、政府はアカデミーの提言を受け止めるのが基本だと主張しました。広渡氏は、首相が会員の任命を拒否しないで済むよう、任命前にチェックさせる機関をつくるのが方針の狙いだと指摘。大西氏は、現行法にある首相の形式的な任命手続きをなくす方向もあると提案しました。

 オンラインで参加した山極氏は「任命拒否の理由が示されなければ改革の議論は進めようがない」と強調。吉川氏は、政府方針は「わが国の将来にとって極めて大きな社会的障害をもたらす要因となる」と危惧するメッセージを寄せました。


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