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2023年2月14日(火)

IAMD(統合防空ミサイル防衛)共同推進を確認

「射撃統制」統合も 日米豪印で対中包囲網

首相答弁デタラメ

 敵基地攻撃と防空・ミサイル防衛を一体で運用する「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)をめぐり、中国包囲網を形成するため、日米豪印の枠組み「クアッド」が共同してIAMDを推進する方針を確認していたことが明らかになりました。米空軍の機関誌『航空宇宙作戦レビュー』2022年夏号に掲載された公式論文「インド太平洋軍のIAMDビジョン2028」に明記されていました。


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 同論文は日本共産党の志位和夫委員長が1月31日の衆院予算委員会で明らかにしたもの。政府は昨年末に閣議決定した安保3文書でIAMDを導入し、敵基地攻撃能力(反撃能力)を運用する方針を示しましたが、岸田文雄首相は同委員会で「米のIAMDに参加しない」と答弁しました。これがデタラメであることが浮き彫りになりました。

 論文は、日本列島からフィリピンにいたる「第1列島線」で中国を抑えなければ、グアムなどを通る「第2列島線」も越えてしまうと危機感を表明。これを阻止するために米国と同盟国が一体になったIAMDの構築が不可欠だとしています。

 論文は21年9月にハワイで行われた日米豪印首脳会議に触れ、「4カ国は中国を迎撃する能力をさらに高めることを目的として、IAMDの構築をともに行うために集まった」と明記。同会議には菅義偉首相(当時)が出席していました。

 論文は、IAMDにおける将来的な同盟国の協力のあり方として、「シームレス=切れ目のない融合」が必要だと強調。警戒情報から攻撃目標まで、あらゆる情報の共有をあげています。中でも重大なのが、ミサイル攻撃などを行う際、射撃の角度や方向を定める「射撃統制」の共有・統合です。手順はインド太平洋軍が定めるとしています。

 米のIAMDは先制攻撃を前提としています。攻撃対象も軍事基地にとどまらず、指揮統制機能(政府中枢など)やインフラと多岐にわたっています。自衛隊が米軍の射撃統制を受けてこうした攻撃を実行する、あるいは米軍に射撃目標を提供する―。完全に一つの軍です。


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