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2023年2月11日(土)

日本共産党の指導部の選出方法について―― 一部の攻撃にこたえて

副委員長・党建設委員会責任者 山下芳生

 日本共産党は、国民に対して責任を負える、安定的で民主的な党の指導部体制をどうつくるか、100年を超える歴史と教訓をふまえて、もっとも民主的で合理的な制度をつくってきました。それが、いまの集団的な指導部体制であり、その選出方法です。

 一方、わが党が、党員の直接選挙で党首を選んでいないことをもって、「閉鎖的」などと攻撃する主張があります(「朝日」8日付社説など)。

 そこで、この機会に、日本共産党の指導部の選出方法について、基本的な考えを明らかにしておきたいと思います。

党規約にもとづき、集団的な指導部体制を選出

 わが党の指導部の選出は、党規約にもとづいて自主的・自律的に、かつ厳格に行われています。具体的には、2年または3年の間に1回開かれる党大会で、全国から選出された代議員による民主的選挙によって中央委員会を選出します。そのうえで中央委員会は、幹部会委員、幹部会委員長、幹部会副委員長、書記局長を、民主的選挙によって選出します。

 このように、党首――幹部会委員長だけでなく、集団的な指導部の体制を選出するところに最大の特徴があります。わが党にとって、この選出方法がもっとも民主的で合理的だと考えます。

個人の専断を排し、集団指導によって民主的に党を運営するうえで、一番合理的

 それは第一に、個人の専断を排し、集団指導によって民主的に党を運営するうえで、いちばん合理的な選出方法となっています。

 集団指導による民主的な党運営でこそ、全党の英知を結集し、党の方針と活動を発展させ、社会進歩に貢献することができます。

 たとえば、いまの党規約では、党首である幹部会委員長も、当然、党大会決定、中央委員会決定、幹部会決定、常任幹部会決定に拘束されます。党の決定から離れて、勝手な言動を行うことは許されません。

 実際に、志位和夫委員長が、重要な方針の発表や新しい見解の表明をするときは、必ず中央委員会や幹部会、常任幹部会の決定あるいは了解をふまえて行っています。2015年9月、当時の安倍政権によって安保法制=戦争法が強行されたその日のうちに、志位委員長が、「戦争法廃止の国民連合政権」をつくることを提唱したときも、直前に中央委員会総会を開き、この方針を全員一致で決定したことを踏まえてのものでした。だからこそ、その後、市民と野党の共闘の発展のために、全国の党組織が真剣かつ誠実に力を発揮することができたのです。

 かりに、党首を直接選挙で選出した場合どうなるでしょう。「党員に直接選ばれた党首」ということで、その権限はたいへんに強大なものになるでしょう。中央委員会を現行とおなじ党大会で選出した場合、中央委員会との関係でも、党員の直接選挙で選ばれた党首の権限が大きくなってしまうことも起こりえます。それが果たして民主的な党運営といえるでしょうか。私たちはそうは考えません。

 さらに、いまの党規約では、書記局長や副委員長、常任幹部会委員、幹部会委員などの党指導部の他のメンバーを、委員長が勝手に解任することはできません。それができるのは中央委員会総会以外にありません。党首を党員の直接選挙で選んだ場合には、党首と党指導部の他のメンバーとの権限にも、大きな差が生まれるでしょう。実際、党員の直接選挙で党首を選んでいる多くの党では、党役員の人事が党首の一存で決められています。

 わが党の指導部の選出方法は、集団指導による党の民主的な運営で、全党の英知を集め、党の方針と活動を豊かに発展させるうえで、もっとも合理的なものになっている、と考えるものです。

派閥・分派をつくらず、国民に対して統一的に責任をはたすうえで、一番合理的

 第二に、党のなかに派閥や分派をつくらず、国民に対して公党として統一的に責任をはたしていくうえで、いちばん合理的な選出方法となっています。

 わが党は、「党の意思決定は、民主的な議論をつくし、最終的には多数決で決める。決定されたことは、みんなでその実行にあたる。行動の統一は、国民にたいする公党としての責任である」(党規約第3条)という「民主集中制」を組織の原則としています。

 党のなかに、さまざまな派閥やグループがつくられ、派閥やグループごとに、主張や行動がバラバラでは、国民に対して公党としての責任をはたせません。主張や行動の統一は、どの党であれ、公党としてのあるべき姿だと、私たちは考えています。

 そのためには、現在の指導部の選出方法が、もっともふさわしいあり方です。党首を党員の直接投票で選ぶということになれば、必然的に、党首のポスト争いのための派閥・分派がつくられていくことになります。それは、そうした党首の選出方法をとっている他党の現実が証明しています。

 もちろん、民主集中制という組織原則は、自発的な意思によって結ばれた自由な結社である党の内部的なルールであって、このルールを社会に押しつけることは決してありません。私たちは、憲法21条が保障している「言論の自由」「出版の自由」「表現の自由」などを全面的に擁護し、発展させていく立場です。

 日本の社会変革をめざして「不屈の先進的な役割をはたす」(党規約第2条)ことを、自らの責務として自覚している政党である日本共産党が、党内民主主義を大切にし、統一した力を発揮するためのルールが、民主集中制です。私たちの党が、統一した力を発揮することができなければ、社会を変えることはできません。

 日本共産党は、派閥や分派がいかに有害なものであるかを、身をもって体験しています。旧ソ連・中国などからの干渉によって党が分裂した「50年問題」は、党と社会進歩の事業にとって計り知れない打撃となりました。その総括にたって、いかなる事態のもとでも党の統一と団結――とりわけ中央委員会の統一と団結を守ること、規律をやぶる分派主義は絶対に許さないこと、などの教訓を引き出しました。現在の指導部の選出方法は、こうした教訓を踏まえたものでもあります。個人中心主義のやり方を排して、集団的な指導を重視すること、党内の民主主義的な気風を大切にすることも、「50年問題」からの重要な教訓です。

 「朝日」社説は、「激しい路線論争が繰り広げられていた時代ならともかく」と、これらの教訓を“時代遅れ”と揶揄(やゆ)しています。しかし、それは政治の生きた動きを見ないものといわなければなりません。

 日本共産党が現在の綱領路線を確定した1961年以降も、わが党の活動は、「政治対決の弁証法」ともいうべき支配勢力との激しいたたかいの連続でした。この間の2回の国政選挙をみても、2021年の総選挙で「野党共闘で政権交代を」と攻め込んだことに対し、激しい共闘攻撃、日本共産党攻撃が行われました。22年の参議院選挙では、そのうえに、ロシアのウクライナ侵略を契機とした共産党攻撃、憲法9条攻撃が吹き荒れました。日本共産党は、これらの「大逆流」に正面から立ち向かい、全国の地域・職場・学園で、支部と党員が、党綱領と中央の方針、政策にもとづき、必死にたたかいぬきました。

 いまの私たちのたたかいも、たんたんとしたものではありません。たえず行われる日本共産党への攻撃とたたかい、それを克服しながら前途を開くことが求められます。私たちが、こうしたたたかいに正面からのぞみ、国民への責任をはたすためには、派閥や分派を排して、行動の統一をはかることが、不可欠なのです。

もともと日本共産党は、「ポスト争い」とは無縁な党

 第三に、もともと日本共産党は、ポスト争いとは無縁な党だということを、知っていただきたいと思います。

 日本共産党は、地域や職場、学園で活動する党員によってつくられています。一人ひとりが、平和と民主主義の危機、「自己責任」の押しつけ、ジェンダー不平等社会、進まない気候危機対策など、理不尽な現実を前にして、「社会を変える力になりたい」と自らの自由意思で綱領と規約を認めて党の一員となっています。「立身出世」――個人的栄達や私利私欲のために党員になる人はいません。それが、「国民の苦難の軽減」を立党の原点とする、わが党の党員の特質であり誇りでもあります。

 こうした人間集団において、“自分が、自分が”といって党指導部のポストを求める人は一人もいません。それは、党の基礎組織である支部においても、地区委員会や都道府県委員会、中央委員会などの党機関においても同じです。

 わが党は、その時々に党が必要としている任務に照らしてベストと考えられる人事を、集団的に検討、吟味して行い、それを支部総会や党機関の総会、党大会などに提案し、民主的選挙を経て体制を決めています。決してポスト争いはしないというのが、日本共産党のあり方なのです。「党首公選制」というポスト争いにつながる方式をとらないのは、こうした日本共産党のそもそもの党のあり方と結びついたものなのです。

 わが党の活力は、ポスト争いからうまれるものではありません。国民多数の幸福と矛盾する対米従属、財界中心の政治のゆがみをおおもとからただし、「国民が主人公」の新しい政治をつくるという党綱領実現への自覚を基礎に、一人ひとりの党員が、地域、職場、学園で、それぞれの条件に応じて個性を輝かせながら力を発揮することが、わが党の活力の源泉となります。そうした同志たちの努力に学び、苦労に心を寄せて、たえず自己改革をはかり、党の方針を発展させるのが、指導部――とりわけ党中央の指導部の役割であり責任だと考えています。

 私たちは、わが党がとっているこうした指導部の選出方法を、他の政党に押し付けるつもりはありません。どの党であれ、「結社の自由」にもとづき、どういう方法で党首や指導部を選出するのかは、その党の自由に委ねられるべきものです。同じ立場から、「党首公選制」こそが唯一の民主的方法であって、それ以外は非民主的だとする独断を、わが党に押し付けてくる議論は、きっぱりと拒否するものです。

党の民主的運営の実態を見ず、「閉鎖的」「異論排除」というのは不当な独断

 最後に、市民と野党の共闘をつうじて新たに友人となったある知識人の方に、党綱領を一部改定した第28回党大会(2020年1月)の決議案を、事前にお届けし説明したことがあります。その方は、綱領改定案の内容に共感を寄せてくださるとともに、改定案を含む党大会決議案を、2カ月半前に発表し、2カ月半にわたって全党討論にかけていることに驚嘆されていました。

 わが党の民主的運営は、他にはない徹底したものなのです。前大会に向けた全党討論では、すべての支部、地区委員会、都道府県委員会が、会議を開いて議論をつくし、全体で1800件の意見・提案等が寄せられました。党の会議では多数にならず、大きな流れのなかでは現れてこない少数意見も含めて、214通の個人意見が寄せられ、「しんぶん赤旗」の臨時号に掲載されました。それらの意見は一つひとつ吟味され、大会議案に修正・補強が加えられ、採択されました。

 わが党に対する「閉鎖的」「異論排除」などの攻撃は、こうした民主的運営の実態を見ようとしない不当な独断に満ちたものといわなければなりません。

 戦争か平和か――日本の命運がかかった歴史的情勢のもとで、わが党は、不当な攻撃をはねかえし、強く大きな党へと前進することで、政治の反動を許さず、社会進歩に貢献する決意です。


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