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2023年2月10日(金)

主張

敵基地攻撃の質疑

戦火招く危険が明白になった

 浜田靖一防衛相が国会の質疑で、日本が安保法制に基づき集団的自衛権を行使した場合、相手国から攻撃を受け、大規模な被害が生じる可能性を認めました。岸田文雄政権は、昨年12月の「安保3文書」で保有を決めた敵基地攻撃能力について、集団的自衛権の行使として使うことがあるとしています。同能力の保有は、「日本を守る」どころか「米国の戦争に日本を巻き込み、甚大な被害を生む」ものであることは明らかです。

大規模な被害生じる

 浜田氏の答弁は、6日の衆院予算委員会で日本共産党の穀田恵二議員が行った質問に対するものです。2015年成立の安保法制は、米国など日本と密接な関係にある国が攻撃され、それによって日本の存立が脅かされる明白な危険がある場合(存立危機事態)に、集団的自衛権の発動として武力の行使を可能にしています。

 穀田氏は、日本が集団的自衛権を行使した後に相手国から攻撃を受け、被害が及ぶ可能性をただしました。これに対し、浜田氏は「わが国が限定的な集団的自衛権を行使した後、事態の推移によっては、他国からわが国に対する武力攻撃が発生し、わが国に被害を及ぼす場合もあり得ると考えている」と答えました。

 日本が攻撃を受けていないのに、米国が他国と戦争を始め、これを存立危機事態と認定すれば、自衛隊は集団的自衛権の行使として他国領域に敵基地攻撃を行い、その結果、相手国から報復攻撃を受け、日本国民に被害が出る危険があるということです。

 さらに浜田氏は、日本が集団的自衛権の行使をした後に「わが国に対する武力攻撃が発生した場合、自衛隊としてはその被害を局限すべく全力で対処することになるが、あくまで一般論ということで申し上げれば、大規模な被害が生じる可能性も完全に否定できるものではない」と述べました。

 相手国からの攻撃による被害を局限するために自衛隊が対処するというのは、さらなる攻撃を加えるということに他なりません。そうなれば「まさに全面戦争ということになり、日本の国土が焦土化し、廃虚と化す恐れ」(穀田氏)があります。

 相手国から真っ先に攻撃されることに懸念を強めているのが、沖縄など南西諸島の人びとです。

 安保3文書は、地上から艦船を攻撃する地対艦ミサイル連隊を現在の五つから七つに増やし、その全てに敵基地攻撃可能な長距離ミサイルを配備する計画を示しています。南西諸島では、奄美大島(鹿児島県)や宮古島(沖縄県)に地対艦ミサイル部隊が置かれ、石垣島(同)や、うるま市(同)にも配備されようとしています。これらの部隊に長距離ミサイルが配備されることになるのは明白です。8日の衆院予算委で日本共産党の赤嶺政賢議員が指摘しました。

安保3文書の撤回を

 石垣市議会は昨年12月に採択した意見書で「他国の領土を直接攻撃するミサイル配備の動きに、市民の間で動揺が広がって」いるとし、「自ら戦争状態を引き起こすような反撃能力をもつ長射程ミサイルを石垣島に配備することを到底容認することはできない」と表明しています。

 日本に戦火を呼び込む安保3文書は直ちに撤回すべきです。


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