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2023年2月5日(日)

きょうの潮流

 平安時代の末期に執政の座にあった藤原頼長は当時の風俗を記した日記を残しました。そこには自身をふくめ男性同士の性愛についての記述が数多くあります▼中世から江戸の時代にいたるまで、日本の歴史には多様な性が息づいていました。それを検証した三橋順子著『歴史の中の多様な「性」』は、歌舞伎の女形がもてはやされたように社会や文化にも影響を与えてきたといいます▼抑圧されたのは明治以降。男らしさ女らしさの押しつけとともに富国強兵のための「産めよ増やせよ」が国から求められていきます。いまの自民党に根強く残る道徳観や家族観も、性的少数者を敵視した戦前の色に染められています▼「見るのも嫌だ」「同性婚なんか導入したら国を捨てる人も出てくる」。またも首相の周辺からあからさまな差別発言がとびだしました。元をたどれば、同性婚を認めたら「社会が変わってしまう」とした岸田首相の答弁です▼秘書官の暴言はそれを問われてのもので、秘書官室も全員同じ考えにあると。性差別論者の政務官起用も同様ですが、そうした人物を重んじてそばに置きながら、多様性を認めあう社会といっても口先だけの言い草です▼時を同じく、国連の人権理事会は性的少数者への差別の解消や同性婚の合法化を日本に勧告する報告書を採択しました。人権の時代にあって変わりゆく世界や社会。日本にも多様な性を受け入れる土壌がありました。変わらないのは個人の生き方を否定する人たちの頭のなかだけです。


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