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2023年2月4日(土)

論戦ハイライト

保育士配置基準“低次元”

衆院予算委 本村伸子議員の追及

本村 先進国でこんな低い基準の国ない

厚労相 十分でないとの指摘うけとめねば

図

 「子どもたちの命や安全を守るためにも、発達を保障するためにも、保育士の配置基準の改善は緊急の課題だ」―。本村氏は3日の衆院予算委員会で、「子ども・子育て支援新制度」が始まった2015年以降、保育施設等全体で重篤な事故が増えていると指摘(グラフ)。その背景には、長年変わらない保育士の配置基準があるとして、基準算定の根拠をただしました。

 本村氏は、日本では児童福祉施設の最低基準が75年前の1948年につくられ、「(厚生大臣は)最低基準を常に向上させるように努めるものとする」としてきたものの、現在3~5歳児に対する配置基準が経済協力開発機構(OECD)調査国・地域で最下位だとして、次のように迫りました。

 本村 先進国でこんな低い基準の国はない。「異次元」と言うが、低次元すぎる。

 加藤勝信厚生労働相 他国と比較して必ずしも配置基準が十分でないという指摘は、十分受けとめていかなければならない。

 本村氏は「子どもたちにもう1人保育士を!実行委員会」が集めた保育士の声(表)を、パネルを示して紹介。「国の保育士配置基準では、子どもの命と安全を守れない」と思う場面に、「地震・火災など災害時」と答えた保育士は84%、「お散歩」は60%などとなっています。また、同実行委員会の保護者向けの調査では、現在の日本の配置基準について「とても不足」「不足」「どちらかといえば不足」と答えたのは合わせて98%だとして、次のようにただしました。

 本村 今のこういうままでいいのか。

 加藤厚労相 子ども一人ひとりと関わる、そうした機会を持てることが大変重要だと思っている。

当事者の声きいて

 保育の長時間化で11時間保育が基本となり、保育士の仕事量は75年前と比べて格段に増えています。

 「0歳児の5分ごとの午睡チェック、ミルクの対応、離乳食の対応、子どもたちが寝ていても休めない」「アレルギーのある子どもへの安全配慮も必要」「プールの監視も厳密にやらなければいけない」

 本村氏は「保育は命、安全を守るだけではなく、一人ひとり、発達段階が違う個性ある子どもたちの乳幼児期の発達を保障する、その大事な仕事をしていただいている」として、専門性がある、資格がある保育士の増員こそ必要だと主張しました。

 本村氏は、現場で緊急に改善が求められているのは▽1歳児6人に対し保育士1人から5対1▽3歳児で20対1から15対1▽4・5歳児で30対1から25対1―だと強調。岸田文雄首相が「何よりも優先されるべきは、当事者の声」と述べたことを挙げ、次のように迫りました。

 本村 「当事者の声」に基づいた政策だ。ぜひ実現してほしい。

 加藤厚労相 保育士の配置基準の改善は重要な課題だ。

 加藤厚労相は、本村氏の問いに真正面から答えませんでした。

全保育園に緊急支援を

 本村氏は、事件・事故が相次ぎ、保育士の配置基準の改善が求められているとして大幅な財政支援を求めました。

 来年度予算案のうち、定員121人以上(全国約4000施設)の保育所を対象に4・5歳児クラスで保育士1人がみる人数を現行の配置基準の30人から25人に改善するための予算が200億円かかるところ、内閣府は13億円しか計上していません。

 本村 来年度予算案の保育士の配置を改善する加算を踏まえた地方財政措置を行うか。

 松本剛明総務相 ご指摘の加算分を踏まえ、地方交付税措置を講じる。

 本村氏は、政府の財政措置はわずかな上、(1)保育士の平均経験年数12年以上(2)定員121人以上の保育所―という厳しい要件が課せられていると指摘。名古屋市の場合、対象となるのは、私立保育所354園中23園しかないとして、次のようにただしました。

 本村 全ての保育所で使える制度に改善すべきだ。13億円では足りない。

 小倉将信こども政策担当相 人材の確保、限られた財源の効果的な活用の観点から議論が必要だ。

 本村氏は「軍事費は2倍にするにもかかわらず、国際的に遅れている保育士の配置基準は後回しにする。こんな政治を変えるべきだ」と主張し、保育士の配置基準を一刻も早く改善するよう重ねて求めました。

《保育者の声》

 「国の保育士配置基準では、子どもの命と安全を守れない」と思う場面を選んでください。(あてはまるすべてを選択)

(保育士2648人が回答)

地震・火災など災害時……84%
防犯上……59%
食事の場面……35%
午睡時……23%
プールなど水遊び……58%
お散歩……60%
園庭・室内での活動……33%
早朝夕刻の保育……43%
その他……3%
未回答・不明……5%

※子どもたちにもう1人保育士を!実行委員会のアンケート(2022年)の集計結果(最終報告)から


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