しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年2月4日(土)

核のごみ 自治体押しつけ狙い

基本方針改定へ 受け入れ表明前に申し入れ

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の候補地選定に向けて、政府が基本方針を8年ぶりに改定する方針を固めたことが3日、明らかになりました。関係閣僚会議などを経た上で、閣議決定します。選定調査の受け入れを判断する前段階から自治体に申し入れるなど国が候補地選定に積極的に関与する内容です。

 岸田政権は昨年12月、原発回帰への大転換で、処分方法も定まらない核のごみを将来にわたって増やし続ける決定をしており、その矛盾を自治体に押しつける動きをさらに強めるものです。

 基本方針は、処分事業を行う原子力発電環境整備機構(NUMO)や国の責任などを定めたもので、現行方針は2015年5月に改定。今月2日に政府が自民党の部会に示した改定案では、「政府の責任で、最終処分に向けて取り組む」として、選定の第1段階となる「文献調査」に関心のある地域に対し、国が「段階的に、地方公共団体・関係団体などに申し入れる」と明記。NUMOなどと連携して自治体を個別訪問。100以上の自治体を訪問する全国行脚を実施し、新たに複数の地域での文献調査実施をめざすとしています。

 また、国民の理解と協力を得るため、「積極的に意見を聴き、ていねいな対話を重ねていく」という従来の表現に加え、原子力と関係の深い自治体などと「協議の場」を設置するなどとしました。

 この問題をめぐっては20年から北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村の2町村が文献調査を受け入れています。

 核のゴミは、「トイレなきマンション」と呼ばれる原発の行き詰まりの現状を表す象徴。政府は地下300メートルより深い地層に埋める方針ですが、人間の生活環境から10万年程度の隔離が求められます。


pageup