2023年2月3日(金)
リスキリングは転職と一体
育休の雇用継続根幹崩す
首相発言に批判
岸田文雄首相が1月27日の参院本会議で、「育児休業中のリスキリング(学び直し)を後押しする」と発言したことについて、育児の大変さを理解していないものだと批判が広がっています。
同時に、もうひとつの深刻な問題が、岸田政権のいうリスキリングが、転職を増やし、雇用の流動化を進めるための政策であるということです。子どもを生み育てる労働者の雇用を継続し、安心してもとの職場に戻ることを目的とした育休制度とは趣旨がまったく異なります。
リスキリングなどといわなくても、育児介護休業法には、育休を終えた労働者が円滑に職場復帰できるよう「職業能力の開発及び向上等に関して、必要な措置を講ずる」ことが企業の努力義務と定められています。(22条2項)
厚労省の「育休復帰支援プラン」策定マニュアルには、職場復帰直前講習や復帰後の職業能力維持回復のための実習や講習などが示されています。労働者に無理がないよう、育休法の指針には、受講するかどうかは労働者の選択にまかせると注意書きしてあります。
岸田首相は1月23日の施政方針演説で、「リスキリングから転職まで一気通貫で支援する枠組みをつくる」と述べており、育休制度を使った労働者を、リスキリングを入り口に転職に誘導するならば、安心して職場復帰する労働環境が崩れかねません。