しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年1月27日(金)

主張

電動キックボード

規制の大幅緩和は危険すぎる

 警察庁が、電動キックボードの規制を大幅に緩和する改定道路交通法の7月施行を決め、関連する政令改定案への意見募集を2月18日まで行っています。

 電動キックボードは従来の道交法では原付きバイクと位置付けられ、運転免許証が必要でした。改定道交法は、最高時速20キロ以下の車体を対象に免許不要にします(16歳未満は運転禁止)。歩道の走行も条件を一定満たせば解禁します。頭部保護のためのヘルメット着用は任意の努力義務にします。電動キックボードは普及に伴い、事故が急増しています。大幅な規制緩和は危険すぎます。

衝突や接触の事故が急増

 電動キックボードは、スケートボードに自転車のようなハンドルを付け、立ち乗りして運転します。ハンドルにあるアクセルで加速します。コロナ禍で密を避ける手軽な移動手段として注目され、市街地などで利用が増加しました。

 禁じられていた歩道の走行、一方通行の逆走などによる衝突・接触などの事故が急増しています。2020年に10件だった交通事故は21年に110件に上りました。21年9月~22年11月の交通違反の摘発数は1600件を超えました。歩行者やベビーカー、車いすなどの通行を妨げる無秩序な違法駐車によるトラブルも問題になっています。

 警察庁は21年、交通違反と事故の増加を懸念し、悪質で危険な違反の積極的な取り締まりを指示していました。公道走行にはヘッドライト、ブレーキ、ナンバープレートなどが必要です。ところがこれらの装備のないものがネットなどで広く販売されて事故を起こすケースが相次ぎ、国民生活センターは22年、電動キックボードが公道を走るには保安装置が必須だとする注意喚起を行いました。

 取り締まり強化などを打ち出しているさなかに、規制緩和の動きが加速しました。道交法改定案は昨年の通常国会に提出されました。普及を推進したい事業者の団体が自民党に過剰規制を緩めるように働きかけたことが背景にあると指摘されています。

 歩行者と接触リスクの高い歩道での走行などを合法化したり、違反を繰り返す人に運転をさせない仕組みである免許制度の対象外にしたりすることは、事故やトラブルの増加を助長することになります。日本共産党は道交法改定に反対しました。

 電動キックボードの普及が先行して進む海外では事故が多発しています。脳損傷などの重大な事故も少なくありません。フランスは歩道を通行禁止にしました。イタリアはヘルメットの着用義務を拡大し、原付き免許を必要とする方向で議論が行われています。米国カリフォルニア州やシンガポール、韓国などでも同様の規制強化が進められようとしています。

外国の流れに逆行するな

 外国が導入しようとしている規制は、これまで日本で実施されてきたものがほとんどです。日本の動きは世界の流れと逆です。規制緩和を求める事業者も自民党の関係議連の会合で、改定道交法で「不適切な走行が減る見込みがありません」と認めています。

 7月からの規制緩和を中止し、不適切な電動キックボードの販売規制や違反行為の取り締まりを強化することこそ必要です。


pageup