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2023年1月24日(火)

主張

首相施政方針演説

軍事栄えて民滅ぶ道 許されぬ

 通常国会が開会し、岸田文雄首相が施政方針演説を行いました。年頭の施政方針演説は、政権がその年に重視する基本方針を国民に明らかにするものです。岸田首相は演説の最初で、日本は「歴史の分岐点」にあると強調し、重要な政策課題の冒頭に「防衛力の抜本的強化」を挙げました。施政方針の中で軍事力強化をここまで前面に立てた政権は極めて異例です。一方で物価高騰対策や賃上げなどでは国民の生活苦を打開する有効な方針は具体的に示しません。「軍事栄えて民滅ぶ」という危険な政治を許してはなりません。

大軍拡を前面に打ち出す

 岸田首相は、大軍拡を「先送りできない課題」だとし、昨年末、国家安全保障戦略など安保3文書を「強い覚悟」で閣議決定したと表明しました。

 3文書が打ち出したのは、敵基地攻撃能力の保有や5年間で軍事費を43兆円にするかつてない大軍拡です。首相は「安全保障政策の大転換」と認める一方、憲法などの枠内だと主張しました。とんでもないごまかしです。

 敵基地攻撃能力の保有は、歴代政権が掲げてきた「専守防衛」を完全に投げ捨てるものです。日本が攻撃されていないのに、集団的自衛権の行使として米国の戦争に日本がトマホークミサイルなどで相手国の領域を攻撃し、参戦することを可能にします。

 国内総生産(GDP)比2%以上という軍事費は米国と中国に次いで世界3位の軍事大国になる道です。その財源については、今を生きる世代が責任を持たなければならないと国民への大幅な負担増を求める姿勢があらわです。

 首相は、外交が優先されると口にしました。しかし、1月の訪米や訪欧で各国首脳と会談し、合意した内容は軍事協力の強化が中心です。被爆者の悲願である核兵器禁止条約の批准・署名にも動こうとしません。

 首相は施政方針演説で「憲法改正」は先送りできない課題とし、9条改憲への意欲も隠しませんでした。岸田政権の憲法破壊と「戦争国家づくり」を許さない世論と運動を広げることが急務です。

 施政方針演説では「物価高対策」や「構造的な賃上げ」も課題だとしました。しかし、効果がなかった従来の政策の焼き直しに終始しています。国民の苦難に寄り添う姿勢がありません。世界の100カ国が実施した消費税減税を拒んでいることは重大です。

 子ども・子育て政策を、日本の経済社会の持続性にとって「最重要政策」に位置付けると表明したものの、財源や具体策は先送りしています。軍拡財源確保のしわ寄せを受ける懸念は消えません。

 原発の建て替えや運転期間延長は、原発事故への無反省を示すものです。沖縄県民の声に反して米軍辺野古新基地の建設推進を明言したことは大問題です。

退陣に追い込む運動を

 統一協会との癒着や「政治とカネ」問題で閣僚4人が辞任したことについて「ざんきに堪えない」とは言うものの、人ごとのような姿勢です。一連の問題の解明にも背を向けています。国民の不信を招いている政権に、もはや政治のかじ取りは任せられません。

 平和・憲法・暮らしを壊す岸田政権を包囲し、退陣に追い込むために力を合わせましょう。


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