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2023年1月21日(土)

主張

融資後の倒産危機

債務別枠化で中小企業救済を

 コロナ禍の経済悪化の中で実質無利子・無担保で資金を借りられる「ゼロゼロ融資」は、企業の資金繰りを緩和し、中小企業の倒産を低減させる役割を果たしました。

 融資の返済がこれからピークを迎えます。ゼロゼロ融資が過剰債務となることによって、返済ができなくなり、倒産する企業が急増する懸念が強まっています。ゼロゼロ融資をいったん通常の融資から切り離して「別枠債務」とし新たな資金提供を可能にするなど、支援体制づくりが急務となっています。

返済ピークへの対応急務

 ゼロゼロ融資は、金融機関に都道府県が利子を補給し、信用保証協会が元本を保証することで実質無利子・無担保で融資をする仕組みです。コロナ禍の2020年3月に政府系金融機関で受け付けが開始され、同年5月には民間金融機関でも始まりました。

 融資返済の据え置き期間は、1~2年が多いとされ、すでに一部では返済が始まっています。

 しかし、多くの中小企業は、コロナ禍に続いて、ロシアのウクライナへの侵略や円安などによる原材料・燃料価格の高騰に苦しんでいます。コストを転嫁できずに、採算が悪化する企業が増えています。いままでゼロゼロ融資が倒産を抑えてきましたが、企業業績が回復しないもとで、返済を迫られ、倒産が増えています。

 民間調査会社の東京商工リサーチによると、22年の倒産件数は、6428件と3年ぶりに前年を上回り、負債総額も5年ぶりに2兆円を超えました。7割が小規模倒産ですが、中堅規模の倒産が増加したことも影響しています。

 ゼロゼロ融資を受けた後に倒産した企業は、20年7月に初めて発生しました。その後、毎月発生し、20年は19件、21年は113件と増加の一途をたどり、22年は21年比4倍となる452件にのぼりました。

 東京商工リサーチの「過剰債務に関するアンケート」(22年12月1日~8日)によると、自社が過剰債務にあると回答した企業は29・8%です。前回(22年10月)は30・8%でした。依然として約3割が過剰債務の状態にあります。

 過剰債務であると答えた企業が多い業種は、宿泊業(67・8%)、飲食店(65・2%)、旅行やブライダルなどの生活関連サービス業(62・9%)という対面型サービス業です。

 東京商工リサーチの調査によると、ゼロゼロ融資を47・8%の企業が利用しています。このうち28・2%の企業が据置期間終了後に再び「返済猶予を受けている」「返済に懸念がある」と回答しました。同社は「23年7月からゼロゼロ融資の返済開始のピークが見込まれており『過剰債務』への対応が急がれる」と警鐘を鳴らしています。

地域経済の支え手守ろう

 日本共産党は、ゼロゼロ融資を「別枠債務」とすることで、新たな資金調達を可能とすることなどを提起し、国会質疑などでその実現に力を尽くしてきました。

 中小企業庁は10日から、ゼロゼロ融資の返済負担を軽減する借り換え保証制度を始めました。さらに小規模事業者の債務の減免などに国の支援が必要です。地域経済の支え手である中小企業を守る取り組みを強めるべきです。


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