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2023年1月19日(木)

経労委報告

賃上げ額抑え込み

労組の闘争に成否

 経団連が発表した春闘の経営側方針「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)は、「物価動向を重視した賃金引き上げ」といいながら、具体的な賃上げ額は「慎重な検討」と表明し、低く抑え込もうとしています。労働組合が統一闘争で、物価高騰を乗り越える大幅賃上げ実現を迫ることが必要です。


 物価高騰が止まりません。昨年12月の東京都区部の消費者物価指数は4%上昇。実質賃金は11月で3・8%低下しました。

 報告は、物価動向を重視し、企業の社会的責任として、積極的な対応を呼びかけるとしました。下請け中小企業の取引改善、非正規雇用労働者の処遇改善なども指摘しました。

 ところが、現下の物価高騰より低い連合のベースアップ(ベア)3%要求にさえ「要求水準自体については慎重な検討が望まれる」と後ろ向きです。各社の実情に応じた検討を強調し、コロナ前から「十分回復」がなければ、できる範囲にとどめるとしています。

不満表明し脅し

 ベアは「前向きに検討する」としながら、「目的・役割を再確認」するとして、1970~80年代のオイルショック時に物価高騰よりも抑制した経験を紹介。この賃上げ抑制こそ、日本が長年、実質賃金が上がらない国となった要因です。報告は、賃金の国際比較で日本が経済協力開発機構(OECD)34カ国中24位に低迷し、「競争力は低下している」と指摘しており、実質賃金を上昇させる賃上げに踏み切るべきです。

 最低賃金についても、報告は、昨年の改定で労働者の生計費が重視されたと不満を表明し、「決定方式自体の見直しを検討せざるを得ない」と脅しをかけています。非正規雇用労働者の処遇改善をいうなら、最賃を全国一律化し、時給1500円にすることこそ求められます。

 一方で、内部留保が500兆円を超え、「10年連続で増加した」と認め、「賃金引上げ」と活用方法に踏み込みました。大企業が自ら活用に踏み切れないなら、内部留保課税によって最賃引き上げの中小企業支援の原資とするなど実施を迫る必要があります。

長時間労働など

 報告は、「円滑な労働移動」をテーマに掲げ、長時間労働を可能とする裁量労働制拡大、長期雇用や賃上げのない「ジョブ型」導入・活用、解雇自由を狙って金銭解決制度創設を求めています。賃上げどころか、実質賃金停滞、格差と貧困、健康破壊に拍車をかけるもので許されません。

 労働組合のたたかいに、物価高騰を乗り越える大幅賃上げ実現の成否がかかっています。(田代正則)


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