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2023年1月15日(日)

主張

日米首脳会談

国民より米国への約束が先か

 岸田文雄首相が米ワシントンのホワイトハウスでバイデン大統領と首脳会談を行いました。会談後に発表した共同声明は、中国、北朝鮮、ロシアを名指しで批判し、日米には「引き続き単独及び共同での能力を強化することが求められている」と強調しました。その上で日米が「日本の反撃能力及びその他の能力の開発及び効果的な運用について協力を強化する」ことを明らかにしました。中国などに軍事で対抗する姿勢を露骨に示し、相手の軍事拠点などをたたく敵基地攻撃能力で日米協力を進めることを表明したのは重大です。

戦争リスクさらに高める

 共同声明は「インド太平洋は、中国によるルールに基づく国際秩序と整合しない行動から北朝鮮による挑発行為に至るまで、増大する挑戦に直面している」ことなどを挙げ、日米が軍事力を強化する必要をうたいました。

 その点で、岸田政権が敵基地攻撃能力の保有を盛り込んだ「国家安全保障戦略」など安保3文書を決定したことについて、バイデン氏が「日本の果敢なリーダーシップを称賛した」と明記しました。「日本によるこれらの取り組みは、インド太平洋及び国際社会全体の安全保障を強化し、21世紀に向けて日米関係を現代化する」とも指摘しました。

 これは、バイデン氏が会談で「歴史的な日本の防衛費の増額や新たな国家安全保障戦略の下で、われわれは軍事同盟(ミリタリー・アライアンス)を現代化している」と述べたように、日米軍事同盟を一層強化し、かつてなく危険な段階に変質させようとする宣言です。

 中国の覇権主義の行動や北朝鮮の軍事挑発などの無法が許されないのは当然です。しかし、これに軍事力の増強で応えようとすれば、必ず相手側の強硬な対抗措置を呼び、戦争のリスクをさらに高めることになります。

 敵基地攻撃能力の保有は、歴代政府が掲げてきた「専守防衛」の大原則を投げ捨て、戦後日本の安全保障政策を大きく転換するものです。岸田政権は、安保3文書に基づき軍事費の大幅な増額、その財源確保のための増税も強行しようとしています。

 そうした大転換を岸田氏は日本での国民の議論や国会での審議を置き去りにして真っ先にバイデン氏に約束し、対米追従姿勢を際立たせました。

 エマニュエル駐日米大使は、安保3文書について「アメリカ政府は日本が下した大胆で勇敢な決断を評価している。戦略文書を更新しただけでなく、その裏付けとなる予算を付けたからだ」と述べています。「(そうした)予算措置を講じたことが、バイデン大統領が2023年の早い時期に岸田総理大臣をホワイトハウスに招きたいと強く思った理由の一つだ」と明かしています(13日のNHKニュース)。今回の首脳会談は、岸田氏から言質を取り付けることが米側の狙いでした。日本の民主主義にかかわる大問題です。

解散・総選挙で信を問え

 日本共産党は、今月下旬召集の通常国会で徹底追及し、国会外での運動と結んで、安保3文書撤回のため全力を尽くします。今春の統一地方選挙で「ノー」の審判を下すとともに、解散・総選挙で国民の信を問えと要求してたたかう決意です。


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