2023年1月15日(日)
学術会議つぶし阻止を
「安保政策の大転換」への適合が狙い
安保法反対学者の会声明
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安全保障関連法に反対する学者の会は14日、政府による日本学術会議つぶしの阻止と、平和と「学問の自由」の擁護を呼びかける声明を発表しました。
政府は、学術会議の運営や会員選考に介入する改悪法案を、23日召集の通常国会に提出する方針。この「方針」に対し学術会議側は、同会議の性格を根本的に変え独立性を侵害しかねないとして、強く再考を求めています。
声明では、創設以来、軍事研究を否定してきた学術会議の基本的立場は、「敵基地攻撃能力の拡大強化」を核心とする岸田政権の「安保政策の大転換」と相いれないと指摘。「方針」は、この「『大転換』に適合的な科学者組織に学術会議を改造することを狙」っていると批判し、撤回を要求しています。
都内で開いた会見で、学術会議元会長の広渡清吾東京大学名誉教授は、政府の「安保3文書」は、企業と学術界の連携による軍需産業の振興と軍事研究の推進を明確に打ち出しており、政府の学術会議改革の根本の動機が明らかになったと指摘しました。
中野晃一上智大学教授は、大学や学術機関といった「学問共同体」の自由を保障した憲法23条「学問の自由」が危機的状況だと述べ、学術会議に直接の関わりがなくても「だまっていることはできない」と表明。学術会議会員の高山佳奈子京都大学教授は、優れた業績のある民間の研究者は既に会員になっているにもかかわらず、あえて「産業界」との連携を強調する政府「方針」は、「利権の追求」を狙っていると指摘。「学術会議はまともな審議ができなくなり、日本は独立したアカデミーがない国になってしまう」と警告しました。
大沢真理東京大学名誉教授は、人類社会の福祉を考える学術会議が、短期間で問題意識がぶれる政府と歩調を合わせる危険性を指摘。佐藤学東京大学名誉教授は、「平和のためには独立したアカデミーが必要だ」と訴えました。