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2023年1月10日(火)

きょうの潮流

 丸2日も電車を止める大がかりでした。山手線渋谷駅のホーム工事。周辺再開発の一環で駅はまた新たな表情に変わりました▼渋谷駅は山手線の前身である品川線の駅として1885年に設けられました。開業当時は利用者が少なく、1日平均で十数人。まだあたりは田畑に囲まれ、いまの人混みからは考えられないほど閑散としていました▼やがて宅地が増えはじめ、大正期には半円の大きな窓と時計塔が特徴の駅舎が誕生。現在のハチ公前広場付近につくられたといいます。いまや多くの若者が待ち合わせ集う場所に。その移り変わりをみてきたのがハチ公の銅像でした▼渋谷のシンボルとなった秋田犬が生まれてから今年で100年。育った渋谷区と、生まれ故郷の秋田・大館市の両自治体が記念事業を進めるなど、いまも時代をこえて語り継がれ、人びとや地域に愛されています▼飼い主の上野英三郎農学博士が亡くなった後も、駅で帰りを待ち続けた姿。戦前の修身教科書には恩を忘れるなとして愛国心をあおるために利用されました。日本犬の研究家でハチ公の存在を世に知らしめた故・斎藤弘吉さんは「ただ自分をかわいがってくれた主人へのまじりけのない愛情だけだった」と話しています(『忠犬ハチ公物語』)▼地元の有志らが1934年に建てた銅像も、戦時中の金属供出で壊された過去があります。駅の変遷とともに日本の歴史を映してきた犬の像。それを詠んだ句があります。〈ハチ公を持つた町史の素晴らしさ 三太郎〉


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