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2023年1月9日(月)

きょうの潮流

 「子どもを愛している。それでも、母でない人生を想う」。社会に背負わされた重荷に苦しむ女性たちの声をイスラエルの社会学者がまとめた『母親になって後悔してる』。日本でも昨年発売され共感をひろげました▼3人に1人が「母親にならなければよかった」と思ったことがある―。この本を番組でとりあげたNHKのアンケート調査からは、後悔と子どもへの愛情という複雑な感情が浮かび上がりました▼良い母親になれない、子どもを育てる責任が重い、育児や家事の負担が大きい、母親らしさや母性が求められる…。口に出せなかった思いから見えてくるのは男性中心の社会や弱肉強食の経済、自己責任の政治が押しつける秩序です▼自分の時間の所有者になることを許されず、自分の人生を生きられていないと感じる多くの母親。加速する少子化には親になることを後悔させる社会のありようがあります▼待ったなしの課題として岸田首相が掲げた「異次元の少子化対策」。子育て支援の強化や働き方改革をあげましたが、異次元の言葉とはほど遠い。基礎からつくりかえるような変革が求められているのに。そのうえ財源に消費税の増税が出てくるひどさです▼今年の新成人を以前と比べるために20歳でみると、推計をとりはじめてから最も少なくなりました。今後も社会を支える人は減るばかりです。なにかの犠牲になるのではなく、ひとりの人間として、みずからの人生を自由に生きられる。そんな世の中を次の世代に渡したい。


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