しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年1月6日(金)

きょうの潮流

 早川篤雄(とくお)さんは、福島県楢葉(ならは)町にある宝鏡寺の第30代住職でした。室町時代に開山した寺は、600年を超える歴史があります▼「春は山桜が美しく、秋は紅葉。ここに来れば、清々(すがすが)しいなと思えるように」。黒い作務衣(さむえ)姿で、境内の整備に丹精込める思いを語っていました。一角に2021年に建立した「原発悔恨・伝言の碑」、隣には「広島・長崎の火」を受け継いだ「非核の火」が▼東京電力福島第1原発事故に至る歴史などを伝える資料館「伝言館」も開設。碑には「電力企業と国家の傲岸(ごうがん)に/立ち向かって40年力及ばず」と無念の気持ちが。「起こるべくして起こった事故だ」と怒りを込めて話しました▼楢葉町での福島第2原発建設の動きに際し、1972年に住民運動の結成に参加。その後も代表を務める市民団体は、福島原発の耐震や津波に対する対策を求め東電に繰り返し申し入れるなど、事故前の40年近い間、原発の危険性を問い続けました▼その事故で着の身着のまま強制避難。東電に損害賠償を求めた避難者訴訟に加わり原告団長に。2020年3月の仙台高裁判決は、市民団体の申し入れがあったにもかかわらず東電が対策を先送りしたため事故に至ったと指摘、東電の対応を「誠に痛恨の極み」と断じました。裁判所前で「正義が通った」と涙を流した早川さん▼「不条理に対し行動する。それがたたかいだし、生きることじゃないの」との固い意志を貫いてきた83年。「核廃絶、原発ゼロ実現にできることを」と語り続けました。


pageup