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2022年12月30日(金)

壊されたくらし 新自由主義の現場から

ハローワーク前 取材1年

働き続けねば暮らせず

コロナ禍・物価高 年金減額にあえぎ

 「壊されたくらし 新自由主義の現場から」で約1年間、ハローワーク(公共職業安定所)の利用者に取材をしてきました。ハローワークには職探しに来る人だけでなく、働く人を募る企業の担当者も訪れます。浮き彫りになったのは、自公政治のもとでコロナ禍や物価高騰にあえぐ人々の姿でした。(武田祐一)


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(写真)ハローワーク上野=10月28日、東京都台東区

 1月末から東京都台東区のハローワーク上野前で、利用者から聞き取り取材を始めました。

安い学費実現を

 「このまま仕事が見つからないと、ホームレスになってしまう」と話す女性(50代)。上京して2カ月間、ホテル住まいで、仕事を探していました。「住所が不定だからか採用してもらえない」と話しました。

 新型コロナウイルス感染症の流行で会社の経営が悪化し、解雇された人も少なくありませんでした。

 薬局に2年間勤めたという女性(26)は「コロナの影響でお客さんが来ないので辞めざるをえなかった」といいます。

 シングルで子育てをしている女性(47)は「勤めていた旅行会社はコロナ禍で業績が悪化したため解雇された」と語ります。保育補助の仕事をしていますが、子どもの大学の学費をまかなうためにもう一つの仕事を探していました。「学費を安くするか、返さなくてもいい奨学金を実現してほしいです」

 飲食業で調理の仕事をしていた女性(33)はコロナ禍で会社が事業を縮小して失業。「消費税が高いし、物価も上がり。これを解決してほしい」と要望しました。

最賃全国一律に

 職場がブラック企業だったことやパワーハラスメントにあって仕事を辞めざるをえなかった人もいます。医療事務員だった女性(31)は「産休・育休を申し出たら退職を勧告されました」。マンション管理会社で働いていた男性(71)は「有給休暇もまともになく、コロナ禍でも、ごみ捨ての際に換気扇を回させず、マスクの支給もなしだった。まともな会社で働きたい」と訴えました。

 物価高騰のうえに、6月からは年金が減額。高齢でも働き続けなければ生活できないという状況が広がっています。

 多くの高齢者がハローワークを訪れていました。「清掃員か、マンションの管理人、警備員の仕事くらいしかない」。定年退職後、2カ月ほど夜勤で清掃の仕事をした男性(61)は実情を語りました。「連日、夜間の仕事で体がきつくて続かなかった。もっと多様な仕事を選べるようにしてほしい」

 10月に全国の最低賃金が改定されましたが一番高い東京都でも時給1072円です。福祉の仕事を探していた女性(74)は「いま政治に求めたいのは、全国一律の最低賃金を1500円にすることです」と強調しました。

 政府の10月の労働力調査では、完全失業者数は178万人にのぼります。多くの人たちが「年を越せるのか」という思いで過ごしています。


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