しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年12月29日(木)

欧州左翼との連帯求めて 緒方副委員長に聞く(5)

欧州との連携で新境地を

写真

(写真)欧州左翼党大会に参加した政党代表ら=11日、ウィーン(吉本博美撮影)

 欧州左翼党の大会終了直後、私はバイアー氏に議長就任のお祝いとお礼を述べました。彼は、「就任演説で、軍事ブロック反対、軍事費増大反対を強調しました。また欧州中心主義を排して、世界との連帯を進めようと述べたのは、日本を含めてです」と、双方の共同を強めたいと語りました。

 私が「それは国際平和のためとなる」と述べると、彼は「こうしたたたかいを通じて世界の平和秩序、国連憲章に基づく秩序を回復し、強化するためにともに力を合わせましょう」と話を締め、波長の合うテンポのよい対話となりました。

 大会で採択された政治文書には、「より公正で平和な世界は軍事同盟ではなく、政治的な合意で築かれるべきだ」「欧州のあらゆる国での劇的な軍事費増大をストップしよう」「欧州連合(EU)は核兵器禁止条約を批准すべきである」と明記されました。

 帰国後、バイアー議長から届いた手紙には、“欧州左翼党は日本共産党と連帯の精神で結ばれており、関係発展のために全力をつくしたい”と書かれていました。誠実に合意を進めたいとの思いを新たにしました。今後、欧州左翼党や各国の参加政党との共同、トランスフォーム欧州との研究分野での協力を進めることになります。

 大会では、フィンランド左翼同盟のハグランド書記長が、正式加盟からオブザーバーに資格を変更すると発言しました。左翼同盟が連立を組む政権の北大西洋条約機構(NATO)加盟申請に党の賛否が分かれ、反対を打ち出せなかったためでした。

 参加者は、「正直に話したい」と訴える彼女の苦悩を理解し、「見通せる将来にNATOの外に出たい」「欧州左翼と共にありたい」と結ぶと連帯の拍手が起きました。

 この出来事は、NATO加盟は、欧州左翼党の一員とは両立しないことを示しました。

「雇用のヨーコ」大ブーム

 大会への参加は300人規模でした。同じホテルで食住を共にし、合宿同様です。私たちは、多くの党と活発に交流しました。

 ギリシャの急進左派連合(シリザ)との会談には、ボウンナス国会議員・影の内閣外相、カトロウガロス国会議員・元外相ら5人が出席。ボウンナス氏は大会発言の冒頭で、「6年間の野党の時期を経て、次の総選挙では勝利して政権に復帰する」と宣言しました。

 国内情勢と地域の情勢を話し合い、互いの対外政策に共通性があることを確認。シリザとの会合は私にとっては、キューバのフィデル・カストロ元議長の葬儀の際、当時首相のチプラス氏と話して以来6年ぶりでした。ズームなどによる気軽な意見交換をもっと頻繁に、と約束しました。

 スペイン共産党を中心とする政党連合「統一左翼」のシラ・レゴ欧州議会議員との会談は、党勢、国内情勢、米軍基地問題、対外関係と多岐にわたりました。社会労働党との連立政権に参加しているもとで、「軍事費は増加したが、かなり抑えた。われわれの圧力の結果だ」と自負していましたが、与党の苦労が察せられました。

 フェミニズムについて聞くと、レゴ氏は「よくぞ聞いていただいた」と前置きし、経過、現状を述べたうえで、「単なる権利の発展・拡大の提案だけではなく、現状に代わる全体的な対案の社会を示す提起となっている」と語りました。

 レゴ氏は、「最近、とてもいいキャンペーン・ビデオを見た」といってスマホを取り出し、私たちの党の公式キャラクター「雇用のヨーコ」の動画を示しました。「どこで知ったの」と聞くと、「モンテロ平等相のコーディネーターが見つけて教えてくれた、大きな話題になっている」と語っていました。

 「雇用のヨーコ」は、欧州で大きなブームになっていました。

 参加政党の友人から口々に「この動画はすごい。傑作だ」との声。誰が作製したのか、次作の予定は、党の宣伝戦略での位置付けは、など矢継ぎ早の質問に、「能力を超えている」と、担当者との直接対話を勧めました。「交流は動画から始めよう」とのズーム会談の申し入れもありました。

アジアと欧州が見える

 日本共産党は24年前に「相手が保守であれ革新であれ、与党であれ野党であれ、交流の意思がある政党、政府とは大いに交流をおこない、一致点で協力する」という基本原則を定め、それに基づく野党外交は、党の視野を広げ、世界の見方を深めてきました。

 イスタンブールで開かれたアジア政党国際会議総会と、ウィーンでの欧州左翼党大会という二つの会議を通じて、私たちはアジアと欧州がよく見える位置にいると気づかされました。確かに、アジアに属していますが、発達した資本主義国として欧州の諸党と同じ家族です。世界で起きている逆流に抗して、平和と進歩のために両大陸が連携する上で、日本共産党にはしかるべき役割と責任があります。

 欧州左翼との協力強化は、党の社会変革の事業に直結する、格別に重要で親近感のもてる事業です。野党外交は新しい境地をひらいており、これを端緒に今後の発展を期したいと思います。

 (おわり)


pageup